1.支店の設置・移転・廃止
(1)機関決定
取締役会非設置会社の場合
会社法(平成十七年法律第八十六号)
(業務の執行)
第三百四十八条
取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2 取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。
3 前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。
一 支配人の選任及び解任
二 支店の設置、移転及び廃止
(・・・)
取締役会設定会社の場合
会社法(平成十七年法律第八十六号)
(取締役会の権限等)
第三百六十二条 取締役会は、すべての取締役で組織する。
2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
3 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
(・・・)
なお「支店」の定義(「支店」であるかどうか)について、熱い議論があるようだが省略。
(参照:筧 康生 (編集), 神﨑 満治郎 (編集), 土手 敏行 (編集)『詳解商業登記【全訂第3版】』きんざい; 全訂第3版 (2022/2/3)P.706以下)
(2)決議の仕方について
機関決定においては、つぎの事項を定める必要がある。
- 新たな支店の所在場所
- 移転の日
ただし、移転の日については下記先例において幅をもたせた決定が可能とされている。
昭和41年2月7日民四第75号回答要旨(日付は筆者が加入した)
【問】議事録につぎのような記載がされている場合、登記申請を受け付けても良いでしょうか?
なお実際に移転したのは令和7年1月26日です。
(1)令和7年1月25日に移転する
(2)令和7年1月25日ごろ移転する
(3)令和7年1月25日から令和7年1月30日までのあいだに移転する
【回答】
(1)却下
(2)決議の範囲内であれば受理
(3)決議の範囲内であれば受理
解説をみていると「移転日については代表取締役に一任も可(注:会社法時代の先例ではない)」とするようだが、どうなのだろうか?(参考:登記研究223号70頁)
(3)登記すべき事項
会社法(平成十七年法律第八十六号)
(株式会社の設立の登記)
第九百十一条
株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
(・・・)
2 (・・・)
3 第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店及び支店の所在場所
(・・・)
2.登録免許税
(1)設置
二十四 会社又は外国会社の商業登記(・・・) | ||
(一) 会社又は相互会社若しくは一般社団法人若しくは一般財団法人(・・・) | ||
ル 支店又は従たる事務所の設置の登記 | 支店又は従たる事務所の数 | 一箇所につき六万円 |
(2)移転
二十四 会社又は外国会社の商業登記(・・・) | ||
(一) 会社又は相互会社若しくは一般社団法人若しくは一般財団法人(・・・) | ||
ヲ 本店若しくは主たる事務所又は支店若しくは従たる事務所の移転の登記 | 本店若しくは主たる事務所又は支店若しくは従たる事務所の数 | 一箇所につき三万円 |
(3)廃止
二十四 会社又は外国会社の商業登記(・・・) | ||
(一) 会社又は相互会社若しくは一般社団法人若しくは一般財団法人(・・・) | ||
ツ 登記事項の変更、消滅又は廃止の登記(これらの登記のうちイからソまでに掲げるものを除く。) | 申請件数 | 一件につき三万円 |
3.登記記録
支店 1 静岡県沼津市若葉町○○番○○号
(年月日 設置)(年月日 登記)
支店 1 静岡県沼津市若葉町○○番○○号
静岡県沼津市宮町○○番地
(年月日 移転)(年月日 登記)
支店 1 静岡県沼津市若葉町○○番○○号
(年月日 廃止)(年月日 登記)

