定款の事業目的について(保険代理店のものから)

2019年8月16日

ある会社の事業目的をみていたら、どういった事業を指すのか理解できなかったものがでてきました。気になるので、調べてみました。 

1.他社事例

生命保険会社に対する特定証券業務(証券取引法第65条の2第11項)の委託の斡旋及び支援 

2.金融商品取引法の制定

そもそも「証券取引法」は平成19年9月30日に「金融商品取引法」に名前が変わっている。

(1)IR事例

定款の事業目的を変更するもの

【変更前】

損害保険会社および生命保険会社に対する特定証券業務(証券取引法第 65 条の2第11 項)の委託の斡旋および支援

【変更後】

損害保険会社および生命保険会社に対する特定金融商品取引業務(金融商品取引法第 33 条の8第2項)の委託の斡旋および支援 

3.条文

以下条文は、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)。

第四款 登録金融機関第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。(金融機関の有価証券関連業の禁止等)第三十三条 銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関(以下この条、次条及び第二百一条において「金融機関」という。)は、有価証券関連業又は投資運用業を行つてはならない。ただし、有価証券関連業については、金融機関が他の法律の定めるところにより投資の目的をもつて、又は信託契約に基づいて信託をする者の計算において有価証券の売買若しくは有価証券関連デリバティブ取引を行う場合は、この限りでない。2 前項本文の規定は、金融機関が、書面取次ぎ行為(・・・)又は次の各号に掲げる有価証券若しくは取引について、当該各号に定める行為を行う場合には、適用しない。【以下、各号にて許容される有価証券が限定列挙されている。詳細については、https://www.daiwa-am.co.jp/guide/term/ta/tourokuki_1.htmlが詳しい。】 

(信託業務を営む場合等の特例等)

第三十三条の八

2 第二十九条の規定は、次の各号に掲げる者が政令で定めるところにより登録金融機関を代理して当該各号に規定する業務(以下この条において「特定金融商品取引業務」という。)を行う場合には、適用しない。この場合において、特定金融商品取引業務を行う者は、その者が代理する登録金融機関の使用人とみなして、この法律の規定を適用する。

一 登録金融機関の代理を行う者のうち政令で定める者【施行令により生命保険募集人や損害保険代理店が含まれている。】

第三十三条第二項第二号に掲げる有価証券【投資信託等の比較的リスクの低い有価証券が列挙されている。】につき同号に定める行為を行う業務

二 登録金融機関の代理を行う者のうち次に掲げる者

第二条第二十五項第二号【気象庁その他の者が発表する気象の観測の成果に係る数値】に掲げる金融指標に係る同条第二十二項第二号に掲げる取引のうち、当該登録金融機関が当該取引の相手方から金銭を受領し、これに対して約定数値と現実数値の差に基づいて算出される金銭を支払うことを約する行為(同条第二十五項第二号に掲げる金融指標に係る変動により当該相手方があらかじめ支払つた金銭の額を上回る損失を受けるおそれがないものに限る。)を行う業務

イ 個人である損害保険代理店(保険業法第二条第二十一項に規定する損害保険代理店をいう。以下この号において同じ。)

ロ 個人である損害保険代理店の使用人のうち保険業法第三百二条の規定による届出が行われているもの

ハ 法人である損害保険代理店の役員又は使用人のうち保険業法第三百二条の規定による届出が行われているもの

ニ 法人である損害保険代理店の代表権を有する役員 

保険会社においては、保険代理店方式により自社商品の販売をおこなっている。そのため特定金融商品取引業務についても、保険代理店を介して行うこととなるが、そうであるならば保険代理店そのものも、金商法の業規制の対象となり登録が必要となってしまう。

しかしながら、個々の保険代理店に登録を求めるのは、過剰な規制となるから「登録金融機関の使用人とみなす」ことにより、登録対象から除外した。

なお、2号は、天候デリバティブについて、例外的に行規制の対象から除外するための規定(なので損保しか出てこない。)。