一般建設業と特定建設業について

1.建設業法の確認

建設業法は、取得すべき許可を「一般建設業の許可」と「特定建設業の許可」という2種類の許可に分類している。

(1)条文の確認

参照条文

建設業法(昭和二十四年法律第百号)

(建設業の許可)
第三条 
建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
一 建設業を営もうとする者であつて、次号に掲げる者以外のもの
二 建設業を営もうとする者であつて、その営業にあたつて、その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの
2 (・・・)
(・・・)
6 第一項第一号に掲げる者に係る同項の許可(第三項の許可の更新を含む。以下「一般建設業の許可」という。)を受けた者が、当該許可に係る建設業について、第一項第二号に掲げる者に係る同項の許可(第三項の許可の更新を含む。以下「特定建設業の許可」という。)を受けたときは、その者に対する当該建設業に係る一般建設業の許可は、その効力を失う。

一般建設業の許可:法3条1項1号に掲げる者に係る許可

特定建設業の許可:法3条1項2号に掲げる者に係る許可

(2)特定建設業の確認(政令における金額の設定)

上記3条1項2号が「特定建設業」の定義となっている。

同号においては「下請代金の額(・・・)が政令で定める金額以上」として、金額を政令により定めることとしている。
ここで「政令」とは、建設業法施工令を指す。

参照条文

建設業法施行令(昭和三十一年政令第二百七十三号)

(法第三条第一項第二号の金額)
第二条 
法第三条第一項第二号の政令で定める金額は、四千五百万円とする。ただし、同項の許可を受けようとする建設業が建築工事業である場合においては、七千万円とする。

というわけで、つぎのように金額が定められている。

建築工事業:7000万円

それ以外:4500万円

(3)整理

「特定建設業」としての許可が必要なのは、つぎの工事を実施する場合。

  1. その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事について。
  2. その工事の全部又は一部を下請契約を締結して施工しようとするもので。
  3. 下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が、
    • 建築工事業である場合においては、7000万円以上。
    • それ以外の建設業については、4500万円以上。

そして、「特定建設業の許可」という制度は「下請負人の保護の徹底を図るために設けられた制度」とされる。
【参照:静岡県交通基盤部建設経済局建設業課『建設業許可の手引(申請・変更)(Ver.9.2)』P.6】
特定建設業許可を必要とするかどうかは、この「「下請負人の保護の徹底」という視点から整理できる。

2.細かな点の確認

よく言及される点を以下にて確認していく。

(1)発注者から直接請け負う工事

「発注者」の定義は、つぎのとおり。

参照条文

建設業法(昭和二十四年法律第百号)

(定義)
第二条 
(・・・)
4 この法律において「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負つた建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約をいう。
5 この法律において「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者をいい、「元請負人」とは、下請契約における注文者で建設業者であるものをいい、「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。

発注者建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者
元請負人下請契約における注文者で建設業者
下請負人下請契約における請負人

さらに細かな定義については、下記記事を参照。
【参照:建設業法における主な用語の定義【その1】】

というわけで、特定建設業許可の要否にあたっては、施工しようとする建設工事が「建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者から直接請け負う工事であるかどうか」を、まず確認することとなる。

(2)下請代金であり請負代金ではない

さらに、ポイントとなるのは「注文者からの請負金額」ではなく「当該工事における下請代金額の総額」である。

そのため、あまり例は少ないと思うが、全部を自社施工する場合には、特定建設業許可は不要である。

(3)下請代金の計算方法

「消費税及び地方消費税相当額を含み、元請負人が提供する材料等の価格は含まない。」とされる。

【第3条関係】

4.令第2条の「下請代金の額」について

発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、元請負人が4,500万円(建築一式工事にあっては7,000万円)以上の工事を下請施工させようとする時の4,500万円には、元請負人が提供する材料等の価格は含まない。

建設業許可事務ガイドラインについて(平成13年4月3日国総建第97号 総合政策局建設業課長から地方整備局建政部長等あて)P.9

【その他】

2.法等における「請負代金の額」等の内容について

消費税及び地方消費税は消費一般に負担を求める間接税であり、取引の各段階において適正に転嫁される必要があることにかんがみ、法、令及び規則の規定中、「請負代金の額」その他の個々の取引に係る請負代金に係る用語は、当該取引に係る消費税及び地方消費税の額を含むものとする。

建設業許可事務ガイドラインについて(平成13年4月3日国総建第97号 総合政策局建設業課長から地方整備局建政部長等あて)P.44
参考記事(外部リンク)
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

「建設業許可事務ガイドライン」の掲載場所

さらに、「当該工事に下請契約が2以上あるときは下請代金の総額」にて判断する必要がある。
ただし、建設工事に該当しない業務に関する委託契約等は除外。
下記、関東地方整備局の資料がわかりやすい。

参考記事(外部リンク)
国土交通省 関東地方整備局 建設業のページです。建築物に関する資格者及び機関の指導監督建設産業行政、建築行政などの業務に関する全体計画など。

「1.建設業許可の概要について[PDF:141KB]」という資料

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