「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和6年3月15日民二535号通達)」について

1.令和6年3月15日民二535号通達

相続人申告登記に関係する不動産登記事務において留意すべき事項を明らかにするもの。

2.記録例を見てみる(中間相続がない場合)

(1)単有

付記登記により、申出があった旨が記録される。【記録例1(1)】

1つの申出が、複数の相続人によってなされた場合には、当該相続人が列挙して記録される。【記録例1(3)】

順次申出がなされた場合には、後続の申出に関する記録が付記2号以下に記録される。【記録例1(4)】

(2)持分を順次取得した登記名義人について申出をする場合

たとえば順位番号2番で持分3分の1を取得し、順位番号3番で更に持分3分の1を取得していた登記名義人Aについて申出をした場合には、
順位番号2番と3番に、それぞれ申出に関する記録がなされるのではなく、順位番号3番に付記する方法で記録がなされる。【記録例1(6)】

「最後に所有権を取得した際の」記録に対して付記をするという考え方。

(3)申出をした相続人について住所・氏名の変更があった場合

付記登記の付記登記として記録される。【記録例1(8)】

(4)申出をした相続人について相続が発生し、当該相続人の相続人から申出がなされた場合

付記登記の付記登記として記録される。【記録例1(8)】

3.記録例をみてみる(中間相続がある場合)

だんだんとパズルみたいになってくる

(1)第2次相続人からの申出

登記名義人Aについて相続開始。
この1次相続について、相続人はBほか数名。
ここでBについても相続開始し、相続人はCほか数名。

Cが、登記名義人Aについて申出をする場合には、付記1号において「B」に関する記録を行い、付記1号の付記1号として「C」に関する記録を行う。【記録例2(1)。当該記録例の注1も参照のこと。】

「B」に関する記録と「C」に関する記録は同一の受付番号による。【記録例2(1)注2】

Cの立場からすれば、自らの相続資格を最低限示す方法で申出を行えばよいことに。

(2)第3次相続人からの申出

登記名義人Aについて相続開始。
この1次相続について、相続人はBほか数名。
ここでBについても相続開始し、相続人はCほか数名。
さらにCについても相続開始し、相続人はDほか数名。

Dが、登記名義人Aについて申出をする場合には、付記1号において「B」に関する記録を行い、付記1号の付記1号として「C」に関する記録を行い、付記1号の付記1号の付記1号として「D」に関する記録を行う。【記録例2(2)。当該記録例の注1も参照のこと。】

以上の3名に関する記録は同一の受付番号による。【記録例2(2)注2】

(3)各次の相続資格がある者からの申出

登記名義人Aについて相続開始。
この1次相続について、相続人はB・C・Dほか数名。
ここでBについても相続開始し、相続人はC・Dほか数名。
さらにCについても相続開始し、相続人はDほか数名。

Dが、登記名義人Aについて申出をする場合には、付記1号において「B・C・D」に関する記録を行い、付記1号の付記1号として「C・D」に関する記録を行い、付記1号の付記1号の付記1号として「D」に関する記録を行う。
なおCについては、「付記1号」と「付記1号の付記1号」に記録することも考えられるが、「最後に所有権を取得した際の」記録に対して付記をするという考え方により、「付記1号の付記1号」に付記するだけでよい。【記録例2(3)。当該記録例の注1も参照のこと。】

本件通達や規則を通読していないことに起因する誤った疑問かもしれないが、
Dからの申出であれば、1次相続人であることの申出のみで良い気もするがどうなのだろうか?
わざわざB・Cの情報を公示する必要があるのだろうか?

(4)他の相続人からの申出がなされた場合

登記名義人Aについて相続開始。
この1次相続について、相続人はBほか数名。
ここでBについても相続開始し、相続人はC・Dほか数名。
Cより申出がなされ、B・Cの氏名は既に記録(「付記1号」及び「付記1号の付記1号」)されている。

ここでDが申出をなす場合には、付記1号の付記号により記録されることに。【記録例2(4)】

4.記録例をみてみる(その他)

(1)申出のあとに移転登記

申出にかかる記録は抹消されることなく、後続に主登記として所有権移転が記録される。【記録例3(1)(2)】

職権による抹消は行われないものの、移転登記により主登記が「現に効力を有するもの」ではなくなるために、申出にかかる付記登記も現在事項証明書には記載されないことに。
(全部事項証明書には記載が残るということか・・・)

(2)相続人申告事項の変更

相続人申告名義人の氏名や住所の変更・更正は、付記登記の付記登記でなされる。【記録例1ほか】
ここでは「原因」も記録されることに。

なお変更・更正をしてからの、さらなる変更・更正も、付記登記の付記登記。【記録例8】

(3)相続人申告登記の抹消

申出による抹消も可能。
(要件等については未確認。。。)

こちらの記載例の3についてだが、上記3(3)で感じた疑問が・・・。

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