医師国民健康保険組合と協会けんぽ

1.はじめに

この記事は、とくに、両団体について説明するものではない。

根拠法が異なるとの記事をみたので、その点について、確認するだけである。
(両健康保険の併用・選択については、専門外であり言及しません(能力もありません)。社労士等の専門家にご相談ください。)

前提として、つぎの条文を確認する。

参照条文

国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)

(保険者)
第三条 
都道府県は、当該都道府県内の市町村(特別区を含む。以下同じ。)とともに、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うものとする。
2 国民健康保険組合は、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うことができる。

(被保険者)
第五条 
都道府県の区域内に住所を有する者は、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とする。

(適用除外)
第六条 
前条の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する者は、都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険(以下「都道府県等が行う国民健康保険」という。)の被保険者としない。
一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の規定による被保険者。ただし、同法第三条第二項の規定による日雇特例被保険者を除く。
(・・・)
三 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)又は地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)に基づく共済組合の組合員
(・・・)
五 健康保険法の規定による被扶養者。ただし、同法第三条第二項の規定による日雇特例被保険者の同法の規定による被扶養者を除く。
(・・・)
八 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)の規定による被保険者
九 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く。)に属する者
十 国民健康保険組合の被保険者
(・・・)

参照条文

健康保険法(大正十一年法律第七十号)

(目的)
第一条 
この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

(定義)
第三条 
この法律において「被保険者」とは、適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者をいう。ただし、次の各号のいずれかに該当する者は、日雇特例被保険者となる場合を除き、被保険者となることができない。
(・・・)
六 国民健康保険組合の事業所に使用される者
(・・・)

2.医師国民健康保険組合

(1)条文

参照条文

国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)

(組織)
第十三条 
国民健康保険組合(以下「組合」という。)は、同種の事業又は業務に従事する者で当該組合の地区内に住所を有するものを組合員として組織する。
2 前項の組合の地区は、一又は二以上の市町村の区域によるものとする。ただし、特別の理由があるときは、この区域によらないことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、第六条各号(第八号及び第十号を除く。)のいずれかに該当する者及び他の組合が行う国民健康保険の被保険者である者は、組合員となることができない。ただし、その者の世帯に同条各号(第十号を除く。)のいずれにも該当せず、かつ、他の組合が行う国民健康保険の被保険者でない者があるときは、この限りでない。
4 第一項の規定にかかわらず、組合に使用される者で、第六条各号(第八号及び第十号を除く。)のいずれにも該当せず、かつ、他の組合が行う国民健康保険の被保険者でないものは、当該組合の組合員となることができる。

(人格)
第十四条 組合は、法人とする。

(名称)
第十五条 
組合は、その名称中に「国民健康保険組合」という文字を用いなければならない。
2 組合以外の者は、「国民健康保険組合」という名称又はこれに類する名称を用いてはならない。

(設立)
第十七条 
組合を設立しようとするときは、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければならない。
(・・・)
5 組合は、設立の認可を受けた時に成立する。

(2)整理

というわけで医師国民健康保険組合というのは、国民健康保険法に基づく「国民健康保険組合」(法人)の一種である。

認可により成立する法人というのも知らなかった。

3.協会けんぽ

(1)条文

参照条文

健康保険法(大正十一年法律第七十号)

(保険者)
第四条 
健康保険(日雇特例被保険者の保険を除く。)の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合とする。

(設立及び業務)
第七条の二 
健康保険組合の組合員でない被保険者(以下この節において単に「被保険者」という。)に係る健康保険事業を行うため、全国健康保険協会(以下「協会」という。)を設ける
2 協会は、次に掲げる業務を行う。
(・・・)
3 協会は、前項各号に掲げる業務のほか、(・・・)、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による前期高齢者納付金等(以下「前期高齢者納付金等」という。)及び同法の規定による後期高齢者支援金等(以下「後期高齢者支援金等」という。)並びに介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による納付金(以下「介護納付金」という。)の納付に関する業務を行う。

(法人格)
第七条の三 協会は、法人とする。

(事務所)
第七条の四 協会は、主たる事務所を東京都に、従たる事務所(以下「支部」という。)を各都道府県に設置する。
2 協会の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

(登記)
第七条の七 
協会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

(2)整理

協会けんぽは正式名称を「全国健康保険協会」という。

健康保険組合に加入していない健康保険法における被保険者が加入する団体であるため、超巨大組織である。

HP上で公開されている事業報告及び決算書類(令和3年度)によれば、つぎのとおり。
凄まじい。

保険料等交付金10,842,918百万円
加入者数4,028万2千人
適用事業所数248万9千事業所
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