自己診療と自家診療

各種健康保険との関係で整理するもの。
末尾に参考資料の掲載元を記載しています。

専門分野外ですが、知識の整理のため。
なお、具体的な保険請求の可否は、各保険者にご相談ください。

1.定義

(1)自己診療とは

医師(または歯科医師。以下「医師等」という。)が、自身に対して診察し治療を行うこと。
(参考資料P.72)

(2)自家診療とは

医師等が、医師等の家族や従業員に対し診察し治療を行うこと。
(参考資料P.73)

2.健康保険との関係

(1)自己診療について

認められていないとされる。
解釈論ということだろうか。

健康保険法等に基づく現行の医療保険制度は、被保険者、患者(他人)に対して診療を行う場合についての規定であるとされていることから、自己診療を保険診療として行うことについては認められていない。

参考資料P.72以下

(2)自家診療について

加入する保険者により扱いが異なるようである。

不可の例として、よく挙げられるのが「医師国保」「歯科医師国保」である。

参考記事(外部リンク)

上記ページの「自家診療の給付制限について」に自家診療に関するお知らせが掲載されている。

また「静岡県医師会会員のための国民健康保険です」に組合の規約へのリンク先が掲載されている。

参考のため、地元の医師国民健康保険組合の規約を参照させていただく。

静岡県医師国民健康保険組合規則

第24条 
組合は組合創立当初の申合わせにより、次の各号については、療養の給付は行わない。
⑴ 正組合員の開設する病院、診療所における正組合員及び家族の自家診療による入院・入院外・院
外処方箋。
⑵ 正組合員の開設する病院、診療所における准組合員とその家族の入院。
⑶ 削  除
⑷ 全被保険者、自家診療による諸指導料(特定疾患療養管理料を含む)の算定・時間外・休日・深
夜加算及び往診料の算定。

https://www.shizuoka.med.or.jp/wp-content/themes/smd/cmn/pdf/ishi/%E8%A6%8F%E7%B4%84%E3%83%BB%E8%A6%8F%E5%89%87%E3%83%BB%E8%A6%8F%E5%AE%9A%E9%9B%86%E3%80%80%E4%BB%A4%E5%92%8C2%E5%B9%B44%E6%9C%88.pdf
2023/6/30確認

(3)自家診療の際の留意点

自家診療を保険診療として行うにあたっては、一般の患者に対する保険診療と同じように診察・記録・徴収を行うべしとされる。

こうした「保険診療において要求される対応が疎かになりがち」だから注意せよというのが「自家診療」における留意点なのだろう。

参考記事(外部リンク)
保険診療における指導・監査について紹介しています。

上記掲載の「保険診療の理解のために【医科】(令和5年度)」を本記事では「参考資料」としている。