目次
0.株券の電子化とは
上場会社の株式等に係る株券をすべて廃止し、株券の存在を前提として行われてきた株主権の管理を、証券保管振替機構及び証券会社等の金融機関に開設された口座において電子的に行うもの。
平成21年1月5日より実施されている。
以下、詳細は金融庁の次のHPを参照。
また、断りのない限り「株券」とは「上場会社の株券」、「株式」とは「上場会社の株式」とする。
1.電子化前の状態
すでに「証券保管振替機構」(通称「ほふり」)が、証券会社などを通じて株券の預託を受け、管理する仕組みができていた(預託率は市場全体の約8割強になっていたという。)。
一方で、こうした預託がなされていない「タンス株」(株主自身が株券を貸金庫等で保管している株式)が相当数存在している状態であった。
2.株券の電子化の実施
(1)株券電子化の実施前に株券をほふりに預託している場合
特段の手続をとる必要はない。
(2)株券電子化の実施までにほふりに預託せず、株券が手元にある場合
株主名簿上の名義人の名前で、発行会社により「特別口座」が開設される。ただし、特別口座では株式の売却・担保設定等の取引はできないので、取引をするためには、株主が証券会社に口座を開設し、特別口座から株式の振替手続を行うことが必要。
3.特別口座にある株式の相続
(1)平成21年1月4日以前(株券電子化前)に被相続人が死亡
いったん相続人の特別口座を開設し、当該口座に株式を振替える。さらに、当該口座から、相続人の一般口座に振替える。
(2)平成21年1月5日以降(株券電子化後)に被相続人が死亡
被相続人の特別口座から、相続人の一般口座に振替える。
※いずれの振替え手続きにおいても、手続き自体は、一般的な証券会社に対する相続手続きと、必要書類や捺印書類につき大きな違いはない。
4.特別口座の見つけ方
(1)各株主名簿管理人に対して、株式残高証明書の発行を求める。
前提として発行会社の株主名簿管理人が、通知書面等から確認できる状況にあること。
手元に株券があるのならば、発行会社に問い合わせても確認できるはず。
(2)登録済加入者情報の開示請求
ほふりに直接照会する方法。
手がかりがないとか、網羅的に確認したいという場合に有効。
ただし、確認できるのは、上場株式等に係る口座が開設されている証券会社・信託銀行等(口座管理機関)であり、銘柄名や保有残高は、重ねて証券会社・信託銀行等(口座管理機関)に対して問合せをする必要があるので留意。