古物営業法における「本人確認」

1.条文

(1)古物営業法

参照条文

古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)
(確認等及び申告)
第十五条 
古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。
一 相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
二 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるものに限る。)の交付を受けること。
三 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。以下同じ。)による記録であつて、これらの情報についてその者による電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいい、当該電子署名について同法第四条第一項又は第十五条第一項の認定を受けた者により同法第二条第二項に規定する証明がされるものに限る。)が行われているものの提供を受けること。
四 前三号に掲げるもののほか、これらに準ずる措置として国家公安委員会規則で定めるもの
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、同項に規定する措置をとることを要しない。
一 対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引をする場合(特に前項に規定する措置をとる必要があるものとして国家公安委員会規則で定める古物に係る取引をする場合を除く。)
二 自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合
3 古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。

第1項は、取引に当たっての本人確認について規定。

1項4号において、「準ずる措置として国家公安委員会規則で定めるもの」とし、詳細は規則にて。

第2項は、古物営業法上の本人確認が免除される場合について

「代価の総額が一定額以下」かつ「特定の取引に該当しないこと」が求められる。こちらも詳細は規則にて。

(2)古物営業法施行規則

参照条文

古物営業法施行規則(平成七年国家公安委員会規則第十号)
(確認の方法等)
第十五条 
法第十五条第一項第一号の規定による確認は、身分証明書、運転免許証、国民健康保険被保険者証その他の相手方の住所、氏名及び年齢又は生年月日を証する資料(一を限り発行又は発給されたものに限る。以下「身分証明書等」という。)の提示を受け、又は相手方以外の者で相手方の身元を確かめるに足りるものに問い合わせることによりするものとする。
2 法第十五条第一項第二号に規定する署名は、当該古物商又はその代理人、使用人その他の従業者(次項第十号及び第四項において「代理人等」という。)の面前において万年筆、ボールペン等により明瞭に記載されたものでなければならない。この場合において、古物商は、当該署名がされた文書に記載された住所、氏名、職業又は年齢が真正なものでない疑いがあると認めるときは、前項に規定するところによりその住所、氏名、職業又は年齢を確認するようにしなければならない。
(・・・)

とりあえず、1項と2項のみを抜粋。

1項は、法15条1項1号に定める「確認」方法について。
2項は、法15条1項2号に定める「署名」方法について。

こういう規則の使い方は、あまり見慣れない気がする(気のせいかもしれない。)。

参照条文

古物営業法施行規則(平成七年国家公安委員会規則第十号)
(確認の方法等)
第十五条 
(・・・)
3 法第十五条第一項第四号の国家公安委員会規則で定める措置は、次のとおりとする。
一 相手方から、その住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともに、その印鑑登録証明書及び当該印鑑登録証明書に係る印鑑を押印した書面の送付を受けること。
二 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受け、並びにその者に対して、本人限定受取郵便物等(名あて人本人若しくは差出人の指定した名あて人に代わって受け取ることができる者に限り交付する取扱いをされる郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者が送達する同条第三項に規定する信書便物(以下「信書便物」という。)をいう。以下同じ。)を送付し、かつ、その到達を確かめること。
三 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受け、並びにその者に対して金品を内容とする本人限定受取郵便物等を送付する方法により当該古物の代金を支払うことを約すること。
四 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともにその住民票の写し、住民票の記載事項証明書、戸籍の謄本若しくは抄本(戸籍の附票の写しが添付されているものに限る。)又は印鑑登録証明書(以下「住民票の写し等」という。)の送付を受け、又は当該相手方の身分証明書等(住所、氏名及び年齢又は生年月日の情報が記録された半導体集積回路(半導体集積回路の回路配置に関する法律(昭和六十年法律第四十三号)第二条第一項に規定する半導体集積回路をいう。以下この号及び第九号において同じ。)が組み込まれたものに限る。)に組み込まれた当該半導体集積回路に記録された当該情報若しくは本人確認用画像情報(当該相手方に当該古物商が提供するソフトウェアを使用して撮影をさせた当該相手方の身分証明書等の画像情報であって、当該身分証明書等に記載された住所、氏名及び年齢又は生年月日並びに当該身分証明書等の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信(当該本人確認用画像情報にあっては、当該ソフトウェアを使用した送信に限る。)を受け、並びに当該住民票の写し等に記載され、又は当該情報に記録された当該相手方の住所に宛てて配達記録郵便物等(引受け及び配達の記録をする取扱いをされる郵便物若しくは信書便物又はこれと同様の取扱いをされる貨物(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)第三条の許可を受けた者その他の適法に貨物の運送の事業を行う者が運送するものに限る。)をいう。以下同じ。)で転送をしない取扱いをされるものを送付し、かつ、その到達を確かめること(当該本人確認用画像情報の送信を受ける場合にあっては、当該古物に係る法第十六条の帳簿等又は電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。以下同じ。)による記録とともに当該本人確認用画像情報を保存する場合に限る。)。
五 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともにその身分証明書等若しくは住民票の写し等のいずれか二の書類の写し(明瞭に表示されたものに限る。)の送付を受け、又は当該相手方の身分証明書等若しくは住民票の写し等の写し(明瞭に表示されたものに限る。)及び当該相手方の住所が記載された次に掲げる書類のいずれか(身分証明書等又は住民票の写し等を除き、領収日付の押印又は発行年月日の記載があるもので、その日が当該古物商が送付を受ける日前六月以内のものに限る。以下この号において「補完書類」という。)若しくはその写し(明瞭に表示されたものに限る。)の送付を受け、並びに当該相手方の身分証明書等若しくは住民票の写し等の写し又は当該補完書類若しくはその写しに記載された当該相手方の住所に宛てて配達記録郵便物等で転送をしない取扱いをされるものを送付し、かつ、その到達を確かめること(当該古物に係る法第十六条の帳簿等又は電磁的方法による記録とともに当該身分証明書等若しくは住民票の写し等の写し又は当該補完書類若しくはその写しを保存する場合に限る。)。
イ 国税又は地方税の領収証書又は納税証明書
ロ 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第七十四条第二項に規定する社会保険料の領収証書
ハ 公共料金(日本国内において供給される電気、ガス及び水道水その他これらに準ずるものに係る料金をいう。)の領収証書(当該相手方と同居する者のものを含む。)
ニ イからハに掲げるもののほか、官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに類するもので、当該相手方の住所及び氏名の記載があるもの(国家公安委員会が指定するものを除く。)
ホ 日本国政府の承認した外国政府又は権限ある国際機関の発行した書類その他これに類するもので、当該相手方の身分証明書等又は住民票の写し等に準ずるもの(当該相手方の住所及び氏名の記載があるものに限る。)
六 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともにその住民票の写し等の送付を受け、並びに当該住民票の写し等に記載されたその者の氏名を名義人の氏名とする預貯金口座への振込み又は振替の方法により当該古物の代金を支払うことを約すること。
七 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともにその身分証明書等の写し(明瞭に表示されたものに限る。)の送付を受け、当該身分証明書等の写しに記載されたその者の住所に宛てて配達記録郵便物等で転送をしない取扱いをされるものを送付し、かつ、その到達を確かめ、並びに当該身分証明書等の写しに記載されたその者の氏名を名義人の氏名とする預貯金口座への振込み又は振替の方法により当該古物の代金を支払うことを約すること(当該古物に係る法第十六条の帳簿等又は電磁的方法による記録とともに当該身分証明書等の写しを保存する場合に限る。)。
八 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともに、当該古物商が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該相手方に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該相手方の容貌及び身分証明書等(当該相手方の写真が貼り付けられたものに限る。以下この号及び次号において「写真付き身分証明書等」という。)の画像情報であって、当該写真付き身分証明書等に係る画像情報が、当該写真付き身分証明書等に記載された住所、氏名及び年齢又は生年月日、当該写真付き身分証明書等に貼り付けられた写真並びに当該写真付き身分証明書等の厚みその他の特徴を確認することができるものをいう。)の送信を受けること(当該古物に係る法第十六条の帳簿等又は電磁的方法による記録とともに当該本人確認用画像情報(当該相手方の容貌の画像情報を除く。)を保存する場合に限る。)。
九 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受けるとともに、当該古物商が提供するソフトウェアを使用して、本人確認用画像情報(当該相手方に当該ソフトウェアを使用して撮影をさせた当該相手方の容貌の画像情報をいう。)の送信を受け、並びに当該相手方から当該相手方の写真付き身分証明書等(住所、氏名、年齢又は生年月日及び写真の情報が記録された半導体集積回路が組み込まれたものに限る。)に組み込まれた当該半導体集積回路に記録された当該情報の送信を受けること。
十 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の申出を受け、並びに当該相手方に、当該古物商又はその代理人等の面前において、器具を使用して当該相手方の氏名の筆記(当該氏名が電磁的方法により当該古物商の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)の映像面に明瞭に表示されるようにして行うものに限る。)をさせること。この場合において、当該申出に係る住所、氏名、職業又は年齢が真正なものでない疑いがあると認めるときは、第一項に規定するところによりその住所、氏名、職業又は年齢を確認するようにしなければならない。
十一 相手方から、電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号。以下この号及び次号において「公的個人認証法」という。)第三条第六項の規定に基づき地方公共団体情報システム機構が発行した署名用電子証明書並びに公的個人認証法第二条第一項に規定する電子署名が行われた当該相手方の住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法による記録の提供を受けること(当該古物商が公的個人認証法第十七条第四項に規定する署名検証者である場合に限る。)。
十二 相手方から、公的個人認証法第十七条第一項第五号に掲げる内閣総理大臣及び総務大臣の認定を受けた者であって、同条第四項に規定する署名検証者である者が発行し、かつ、当該認定を受けた者が行う特定認証業務(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号。以下この号において「電子署名法」という。)第二条第三項に規定する特定認証業務をいう。)の用に供する電子証明書(当該相手方に係る利用者(電子署名法第二条第二項に規定する利用者をいう。)の真偽の確認が、電子署名及び認証業務に関する法律施行規則(平成十三年総務省・法務省・経済産業省令第二号)第五条第一項各号に規定する方法により行われて発行されるものに限る。)並びに電子署名法第二条第一項に規定する電子署名が行われた当該相手方の住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法による記録の提供を受けること。
十三 法第十五条第一項第一号から第三号まで又は前各号に掲げる措置をとった者に対し識別符号(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第三項に規定する識別符号をいう。)を付し、その送信を受けることその他のこれらの規定に掲げる措置をとった者を識別でき、かつ、その者に第三者がなりすますことが困難な方法により、相手方についてこれらの規定に掲げる措置を既にとっていることを確かめること。
(・・・)

今回のメインテーマである、「準ずる措置として国家公安委員会規則で定めるもの」について。あまりに長いので項目3にて確認する。

参照条文

古物営業法施行規則(平成七年国家公安委員会規則第十号)
(確認等の義務を免除する古物等)
第十六条 
法第十五条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める金額は、一万円とする。
2 法第十五条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める古物は、次の各号に該当する古物とする。
一 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他の汎用性の部分品を除く。)を含む。)
二 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物
三 光学的方法により音又は影像を記録した物
四 書籍
(・・・)

確認義務の免除について。

金額は1万円未満であること。

くわえて、つぎの古物取引ではないこと。

  • 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他の汎用性の部分品を除く。)を含む。)
  • 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物
  • 光学的方法により音又は影像を記録した物
  • 書籍

2.罰則

参照条文

古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)
第三十三条 
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第十四条第三項、第十五条第一項、第十八条第一項又は第十九条第三項若しくは第四項の規定に違反した者
二 第十六条又は第十七条の規定に違反して必要な記載若しくは電磁的方法による記録をせず、又は虚偽の記載若しくは電磁的方法による記録をした者
三 第十八条第二項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者
四 第十九条第二項の規定に違反して品触れに係る書面に到達の日付を記載せず、若しくは虚偽の日付を記載し、又はこれを保存しなかつた者
五 第二十一条又は第二十一条の七の規定による警察本部長等の命令に違反した者

3.古物営業法における「非対面取引」における本人確認方法(警視庁のHPから)

(1)参考とした警視庁HP

さきほど確認を省略した規則15条3項各号の確認方法については、上記警察庁のHPが参考となる。

上記HPの冒頭の箇条書きのところだけでも確認をすると良いかもしれない。(以下、冒頭箇条書きの部分のみ抜粋)

  • 免許証等のコピーを送ってもらうだけでは違反です。
  • 1万円未満であっても、18歳未満からの買取りでないことを確認する必要があります。
  • 法人相手の取引であっても、法人の取引担当者の住所、氏名、年齢、職業を確認しなければなりません。
  • オークションサイトやフリマサイト等において1万円以上の古物(バイク、ゲームソフト、映画や音楽を記録したCD・DVD等、書籍に関しては1万円未満でも対象となります。)を買い受ける場合も、その都度、下記いずれかの方法で相手方の身分確認をする必要がある。

(2)要するに?

注目すべきは、4点目の「オークションサイトやフリマサイト等において1万円以上の古物(バイク、ゲームソフト、映画や音楽を記録したCD・DVD等、書籍に関しては1万円未満でも対象となります。)を買い受ける場合も、その都度、下記いずれかの方法で相手方の身分確認をする必要がある」というところ。

そうなのかぁという感想。