遺言書保管制度の利用状況(法務省)

1.遺言書保管制度とは

遺言書保管制度とは、自筆証書遺言を、法務局(遺言書保管所)にて保管する制度です。

法務局により保管されるため、つぎのようなメリットがあります。

  • 遺言書の紛失のおそれがない。
  • 相続人等の利害関係者による遺言書の破棄・隠匿等を防ぐことができる。

また、保管制度の特色として、2つの通知があげられます。

  • 関係遺言書保管通知
    相続人のうちの一人が、保管されている遺言書の閲覧をしたり、遺言書情報証明書の交付を受けた場合には、その他の相続人全員に対して遺言書が保管されている旨の通知を行う。
    (そのため、最初に閲覧等を行う相続人は、遺言書の閲覧等に際しては、相続人等を明らかにする戸籍を提出しなければならない。)
  • 死亡時通知
    遺言者が死亡時通知を希望している場合には、通知対象とされた者に対して、法務局の戸籍担当部局との連携により遺言者の死亡の事実が確認できた時に、関係する遺言書が保管されている旨の通知を行う。

これまで、自筆証書遺言の「デメリット」といわれてきたところを補完する制度として活用が期待されている制度です。

2.遺言書保管制度の利用状況

(1)法務省発表による「遺言書保管制度の利用状況」

上記外部リンクの「関連情報」「2 本制度の利用状況について」において、遺言書保管制度の利用状況が開示されています。

エクセルで掲載してくれると助かるのですが、PDFでの掲載です。

令和3年は、16,954件でした。

なお、遺言書情報証明書の交付請求数は684件でした。

(2)ちなみに公正証書遺言の利用状況

遺言公正証書については、日本公証人連合会に年間での件数が掲載されています。

令和3年は106,028件。

3.遺言書保管制度の今後

(1)遺言書保管制度の利用が進む?!

令和2年7月の制度開始月は2586件の利用。

直近の令和4年7月では1,261件の利用。

月間1,000~1,500件で安定しているとみるべきでしょうか。

(2)個人的には公正証書遺言をおすすめ

遺言の選択肢が増えるという点では良いのかもしれませんが、個人的には遺言は公正証書による作成をオススメしています。