法務局における遺言書の保管等に関する法律について(2)

2018年8月13日

1.条文の確認

法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成三十年七月十三日法律第七十三号)

(遺言書の保管の申請)
第四条
遺言者は、遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請をすることができる。
2 前項の遺言書は、法務省令で定める様式に従って作成した無封のものでなければならない。
3 第一項の申請は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されている場合にあっては、当該他の遺言書が保管されている遺言書保管所)の遺言書保管官に対してしなければならない。
4 第一項の申請をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、遺言書に添えて、次に掲げる事項を記載した申請書を遺言書保管官に提出しなければならない。
一 遺言書に記載されている作成の年月日
二 遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
三 遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所
イ 受遺者
ロ 民法第千六条【遺言執行者の指定】第一項の規定により指定された遺言執行者
四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
5 前項の申請書には、同項第二号に掲げる事項を証明する書類その他法務省令で定める書類を添付しなければならない。
6 遺言者が第一項の申請をするときは、遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。

遺言書は、「法務省令で定める様式に従って作成した無封のもの」とされています。申請に際しては、この様式を厳密に守らないといけないですね。

(1)申請先

申請先となるのは、(1)遺言者の住所地、(2)遺言者の本籍地、(3)遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局、が原則となります。不動産所在地も管轄になるのは、法定相続情報証明書と同じです。すでに遺言書保管を申請している場合には、当該保管法務局となります。

(2)申請書記載事項

申請書記載事項については、「受遺者」の氏名・住所が含まれています。これって、相続させる旨の遺言の場合にはどうなるのかな?また、添付書類として「受遺者の氏名・住所」を証する書面が必要となると困りますね。。

(3)申請者本人が出頭

そして申請に際しては、申請者自らが出頭しなければなりません。

(遺言書保管官による本人確認)
第五条
遺言書保管官は、前条第一項の申請があった場合において、申請人に対し、法務省令で定めるところにより、当該申請人が本人であるかどうかの確認をするため、当該申請人を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す書類の提示若しくは提出又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。 

 法定相続情報証明よりも厳密になるのかな。

(遺言書の保管等)
第六条
遺言書の保管は、遺言書保管官が遺言書保管所の施設内において行う。
2 遺言者は、その申請に係る遺言書が保管されている遺言書保管所(第四項及び第八条において「特定遺言書保管所」という。)の遺言書保管官に対し、いつでも当該遺言書の閲覧を請求することができる
3 前項の請求をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。
4 遺言者が第二項の請求をするときは、特定遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。この場合においては、前条の規定を準用する。
5 遺言書保管官は、第一項の規定による遺言書の保管をする場合において、遺言者の死亡の日(遺言者の生死が明らかでない場合にあっては、これに相当する日として政令で定める日)から相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定める期間が経過した後は、これを廃棄することができる。

遺言者は、遺言を保管する法務局に対して、自ら出頭する方法で、遺言書の閲覧を請求することができる。これも「自ら出頭」。

(遺言書に係る情報の管理)
第七条
遺言書保管官は、前条第一項の規定により保管する遺言書について、次項に定めるところにより、当該遺言書に係る情報の管理をしなければならない。

2 遺言書に係る情報の管理は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)をもって調製する遺言書保管ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。
一 遺言書の画像情報
二 第四条第四項第一号から第三号までに掲げる事項

三 遺言書の保管を開始した年月日
四 遺言書が保管されている遺言書保管所の名称及び保管番号
3 前条第五項の規定は、前項の規定による遺言書に係る情報の管理について準用する。この場合において、同条第五項中「廃棄す」とあるのは、「消去する」と読み替えるものとする。

2.データの保管と撤回

(1)データとして保管(検索が容易)

申請されるとデータとしても保管されます。

受遺者や遺言執行者についても記録事項に入るのは、この人たちが後述の請求対象者になるから。住所も特定するための情報になるところ、そう考えると保管の申請に際して、受遺者等の住所を証する書面が必要になるのかな。。

(2)撤回について

(遺言書の保管の申請の撤回)
第八条 遺言者は、特定遺言書保管所の遺言書保管官に対し、いつでも、第四条第一項の申請を撤回することができる。
2 前項の撤回をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した撤回書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。
3 遺言者が第一項の撤回をするときは、特定遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。この場合においては、第五条の規定を準用する。
4 遺言書保管官は、遺言者が第一項の撤回をしたときは、遅滞なく、当該遺言者に第六条第一項の規定により保管している遺言書を返還するとともに、前条第二項の規定により管理している当該遺言書に係る情報を消去しなければならない。

 保管申請の撤回に際しても、自ら出頭が求められています。