前提
被相続人が死亡。相続人は1名(親であるA)のみ。
遺言があり、「全財産をB及びCに遺贈する。」との内容。
相続財産は、預貯金と不動産のみ(価値比率は1:1とする。)。
遺留分請求はさておき、A・B・Cの3名は、不動産をAに承継させたい。
1.条文
【特定遺贈】
民法(明治二十九年法律第八十九号)
第九百八十六条
受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
2 遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
(未確認。最判H12.9.7金法1597-73。可分の場合には、遺贈の一部放棄も可能。)
【包括遺贈】
第九百九十条
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
第九百十五条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
2.特定遺贈と包括遺贈
(1)特定遺贈については、一部放棄も可能。
(2)包括遺贈については、一部放棄は不可。遺産分割協議によって、最終的な財産帰属割合を調整することは可能。
3.相続分の変動
(1)遺言により、法定相続人の相続分がゼロとされ、包括受遺者2名に相続分が指定された。
(2)包括受遺者2名が、「包括遺贈の一部放棄」(?)をして、法定相続人の相続分を復活させることはできない。
(3)受遺者の意思により、負債を免れることはできないとしても、財産の引き受けを拒否することを認めても良いと思われるが。。