資本金等に関する復習

2022年7月2日

1.「資本金」とは

会社法(平成十七年法律第八十六号)
(資本金の額及び準備金の額)
第四百四十五条 
株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
2 前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
3 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
4 剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に十分の一を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金(以下「準備金」と総称する。)として計上しなければならない。
(・・・)

以下、とくに記載しない限りは、会社法の条文。

資本金は、会社法に基づいて純資産の部に計上が求められる数値。
設立又は株式の発行時に、払込み又は給付をした財産の額が、資本金の額となる。
ただし、それぞれの場合で、2分の1を超えない額を、資本金として計上しないことも可能。そうして計上しなかった額は、資本準備金の額となる。

2.「資本準備金」「利益準備金」とは

(1)資本準備金について

前項記載の通り。

(2)利益準備金について

第四百四十五条
4 剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に十分の一を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金(以下「準備金」と総称する。)として計上しなければならない。
というわけで「準備金」=「資本準備金」と「利益準備金」

(3)準備金の意義

純資産の金額が、資本金と準備金の合計額を上回っていなければ、株式会社は株主への配当ができない。

3.資本金と準備金の違い

(1)資本金の減少手続き

(資本金の額の減少)
第四百四十七条 
株式会社は、資本金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 減少する資本金の額
二 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
三 資本金の額の減少がその効力を生ずる日
2 前項第一号の額は、同項第三号の日における資本金の額を超えてはならない。
3 株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。

(2)準備金の減少手続き

(準備金の額の減少)
第四百四十八条 
株式会社は、準備金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 減少する準備金の額
二 減少する準備金の額の全部又は一部を資本金とするときは、その旨及び資本金とする額
三 準備金の額の減少がその効力を生ずる日
2 前項第一号の額は、同項第三号の日における準備金の額を超えてはならない。
3 株式会社が株式の発行と同時に準備金の額を減少する場合において、当該準備金の額の減少の効力が生ずる日後の準備金の額が当該日前の準備金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。

(3)各減少手続きにおける債権者の保護

(債権者の異議)
第四百四十九条 
株式会社が資本金又は準備金(以下この条において「資本金等」という。)の額を減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、資本金等の額の減少について異議を述べることができる。ただし、準備金の額のみを減少する場合であって、次のいずれにも該当するときは、この限りでない。
一 定時株主総会において前条第一項各号に掲げる事項を定めること。
二 前条第一項第一号の額が前号の定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。
2 前項の規定により株式会社の債権者が異議を述べることができる場合には、当該株式会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第三号の期間は、一箇月を下ることができない。
一 当該資本金等の額の減少の内容
二 当該株式会社の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
三 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず、株式会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
4 債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該資本金等の額の減少について承認をしたものとみなす。
5 債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べたときは、株式会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。以下同じ。)に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該資本金等の額の減少をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
6 次の各号に掲げるものは、当該各号に定める日にその効力を生ずる。ただし、第二項から前項までの規定による手続が終了していないときは、この限りでない。
一 資本金の額の減少 第四百四十七条第一項第三号の日
二 準備金の額の減少 前条第一項第三号の日
7 株式会社は、前項各号に定める日前は、いつでも当該日を変更することができる。

4.剰余金

(剰余金の額)
第四百四十六条 
株式会社の剰余金の額は、第一号から第四号までに掲げる額の合計額から第五号から第七号までに掲げる額の合計額を減じて得た額とする。
一 最終事業年度の末日におけるイ及びロに掲げる額の合計額からハからホまでに掲げる額の合計額を減じて得た額
イ 資産の額
ロ 自己株式の帳簿価額の合計額
ハ 負債の額
ニ 資本金及び準備金の額の合計額
ホ ハ及びニに掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
二 最終事業年度の末日後に自己株式の処分をした場合における当該自己株式の対価の額から当該自己株式の帳簿価額を控除して得た額
三 最終事業年度の末日後に資本金の額の減少をした場合における当該減少額(次条第一項第二号の額を除く。)
四 最終事業年度の末日後に準備金の額の減少をした場合における当該減少額(第四百四十八条第一項第二号の額を除く。)
五 最終事業年度の末日後に第百七十八条第一項の規定により自己株式の消却をした場合における当該自己株式の帳簿価額
六 最終事業年度の末日後に剰余金の配当をした場合における次に掲げる額の合計額
イ 第四百五十四条第一項第一号の配当財産の帳簿価額の総額(同条第四項第一号に規定する金銭分配請求権を行使した株主に割り当てた当該配当財産の帳簿価額を除く。)
ロ 第四百五十四条第四項第一号に規定する金銭分配請求権を行使した株主に交付した金銭の額の合計額
ハ 第四百五十六条に規定する基準未満株式の株主に支払った金銭の額の合計額
七 前二号に掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額

剰余金の額は、上記の計算によって決まる。
剰余金は、計算の結果として「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」から構成されることに。
ちなみに計算上「資本剰余金」は「資本準備金」と「その他資本剰余金」に区分され、「利益剰余金」は「利益準備金」と「その他利益剰余金」に区分される。
ややこしいな・・

5.株主資本の各項目の計数異動

(1)株主資本の項目

資本金、資本準備金、利益準備金、その他資本剰余金、その他利益剰余金

(2)資本と利益の峻別の原則

一定の手続きを経ることによって、項目間で計数を異動させることができる。
とはいえ、異動には制限があり、その会計原則が「資本と利益の峻別」である。
この原則により、たとえば「資本金」を「利益準備金」「その他利益剰余金」に異動させることはできない(逆は、資本金制度の趣旨により可。)。
同じく「資本準備金」を「利益準備金」「その他利益剰余金」に異動させることはできない。

(3)各項目の計数異動

それぞれに手続きがあるが、代表例として、次項以下にて「資本金の額の減少」「資本準備金の減少」を見ていく。

6.資本金の額の減少(計算に関する部分)

(資本金の額の減少)
第四百四十七条 
株式会社は、資本金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 減少する資本金の額
二 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
三 資本金の額の減少がその効力を生ずる日
2 前項第一号の額は、同項第三号の日における資本金の額を超えてはならない。
3 株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。

会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)
(資本金の額)
第二十五条 
株式会社の資本金の額は、第一款並びに第四節及び第五節の二に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。
一 法第四百四十八条の規定により準備金の額を減少する場合(同条第一項第二号に掲げる事項を定めた場合に限る。) 同号の資本金とする額に相当する額
二 法第四百五十条の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号の減少する剰余金の額に相当する額
2 株式会社の資本金の額は、法第四百四十七条の規定による場合に限り、同条第一項第一号の額に相当する額が減少するものとする。この場合において、次に掲げる場合には、資本金の額が減少するものと解してはならない。
(・・・)

会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)
(その他資本剰余金の額)
第二十七条 株式会社のその他資本剰余金の額は、第一款並びに第四節及び第五節の二に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。
一 法第四百四十七条の規定により資本金の額を減少する場合 同条第一項第一号の額(同項第二号に規定する場合にあっては、当該額から同号の額を減じて得た額)に相当する額
二 法第四百四十八条の規定により準備金の額を減少する場合 同条第一項第一号の額(資本準備金に係る額に限り、同項第二号に規定する場合にあっては、当該額から資本準備金についての同号の額を減じて得た額)に相当する額
三 前二号に掲げるもののほか、その他資本剰余金の額を増加すべき場合 その他資本剰余金の額を増加する額として適切な額
2 株式会社のその他資本剰余金の額は、前三款並びに第四節及び第五節の二に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が減少するものとする。
一 法第四百五十条の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号の額(その他資本剰余金に係る額に限る。)に相当する額
二 法第四百五十一条の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号の額(その他資本剰余金に係る額に限る。)に相当する額
三 前二号に掲げるもののほか、その他資本剰余金の額を減少すべき場合 その他資本剰余金の額を減少する額として適切な額
3 前項、前三款並びに第四節及び第五節の二の場合において、これらの規定により減少すべきその他資本剰余金の額の全部又は一部を減少させないこととすることが必要かつ適当であるときは、これらの規定にかかわらず、減少させないことが適当な額については、その他資本剰余金の額を減少させないことができる。

条文が読みにくいが、法447条において減少手続きが定められている。
法447条1項2号で、減少させた資本金の額の全部または一部を準備金とすることが規定されている。
そうなると、準備金にしなかった減少額がどうなるのかわからないのだが、その点については計算規則27条1項2号に記載がある(「その他資本剰余金」が増加する。)

7.資本準備金の額の減少(計算に関する部分)

(準備金の額の減少)
第四百四十八条 
株式会社は、準備金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 減少する準備金の額
二 減少する準備金の額の全部又は一部を資本金とするときは、その旨及び資本金とする額
三 準備金の額の減少がその効力を生ずる日
2 前項第一号の額は、同項第三号の日における準備金の額を超えてはならない。
3 株式会社が株式の発行と同時に準備金の額を減少する場合において、当該準備金の額の減少の効力が生ずる日後の準備金の額が当該日前の準備金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。

会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)
(資本準備金の額)
第二十六条 
株式会社の資本準備金の額は、第一款及び第二款並びに第四節及び第五節の二に定めるところのほか、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める額が増加するものとする。
一 法第四百四十七条の規定により資本金の額を減少する場合(同条第一項第二号に掲げる事項を定めた場合に限る。) 同号の準備金とする額に相当する額
二 法第四百五十一条の規定により剰余金の額を減少する場合 同条第一項第一号の額(その他資本剰余金に係る額に限る。)に相当する額
2 株式会社の資本準備金の額は、法第四百四十八条の規定による場合に限り、同条第一項第一号の額(資本準備金に係る額に限る。)に相当する額が減少するものとする。この場合においては、前条第二項後段の規定を準用する。

こちらも資本金同様にわかりにくいのだが、法448条にて減少させた額を資本金にすることができる旨が記載されている。
資本金にしなかった減少額については、計算規則27条1項2号により「その他資本剰余金」が増加する。

8.資本金の額の減少(手続きに関する部分)

(1)意思決定

(株主総会の決議)
第三百九条
2 (・・・特別決議・・・)
九 第四百四十七条第一項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。)
イ 定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること。
ロ 第四百四十七条第一項第一号の額がイの定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。

(資本金の額の減少)
第四百四十七条
3 株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。

というわけで、原則的には、株主総会の特別決議による。
例外は2つ。
1つめは、欠損額を補填する目的で定時株主総会の決議による場合(普通決議)。
2つめは、減資と新株発行による資本金の増加とを同時に実施する場合で、実施前後において資本金の額が減少しない場合(取締役会または取締役による決定)

(2)債権者保護手続き

(債権者の異議)
第四百四十九条 
株式会社が資本金又は準備金(以下この条において「資本金等」という。)の額を減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、資本金等の額の減少について異議を述べることができる。ただし、準備金の額のみを減少する場合であって、次のいずれにも該当するときは、この限りでない。
一 定時株主総会において前条第一項各号に掲げる事項を定めること。
二 前条第一項第一号の額が前号の定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。
2 前項の規定により株式会社の債権者が異議を述べることができる場合には、当該株式会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第三号の期間は、一箇月を下ることができない。
一 当該資本金等の額の減少の内容
二 当該株式会社の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
三 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず、株式会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
4 債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該資本金等の額の減少について承認をしたものとみなす。
5 債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べたときは、株式会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。以下同じ。)に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該資本金等の額の減少をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
6 次の各号に掲げるものは、当該各号に定める日にその効力を生ずる。ただし、第二項から前項までの規定による手続が終了していないときは、この限りでない。
一 資本金の額の減少 第四百四十七条第一項第三号の日
二 準備金の額の減少 前条第一項第三号の日
7 株式会社は、前項各号に定める日前は、いつでも当該日を変更することができる。

1か月以上の期間をもって異議を述べることができる旨を官報により公告。
かつ、会社に知れている債権者に対して各別催告。
なお、官報のほか、定款の定めに従い、時事に関する日刊新聞または電子公告により公告した場合には個別催告は要しない。

9.資本準備金の額の減少(手続きに関する部分)

(1)意思決定

(準備金の額の減少)
第四百四十八条
3 株式会社が株式の発行と同時に準備金の額を減少する場合において、当該準備金の額の減少の効力が生ずる日後の準備金の額が当該日前の準備金の額を下回らないときにおける第一項の規定の適用については、同項中「株主総会の決議」とあるのは、「取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)」とする。

原則として普通決議でたる。
例外は1つ。
準備金の減少と新株発行による準備金の増加とを同時に実施する場合で、実施前後において準備金の額が減少しない場合(取締役会または取締役による決定)

(2)債権者保護手続き

(債権者の異議)
第四百四十九条 
株式会社が資本金又は準備金(以下この条において「資本金等」という。)の額を減少する場合(減少する準備金の額の全部を資本金とする場合を除く。)には、当該株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、資本金等の額の減少について異議を述べることができる。ただし、準備金の額のみを減少する場合であって、次のいずれにも該当するときは、この限りでない。
一 定時株主総会において前条第一項各号に掲げる事項を定めること。
二 前条第一項第一号の額が前号の定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。

原則として、減資同様の債権者保護手続きが必要。
ただし、つぎのいずれにも該当するときには、債権者保護手続きを実施する必要はない。
定時株主総会において準備金減少について決議
準備金減少額が欠損額を超えないこと

なお「欠損の額」の算定は次の通り。

会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)
(欠損の額)
第百五十一条 
法第四百四十九条第一項第二号に規定する法務省令で定める方法は、次に掲げる額のうちいずれか高い額をもって欠損の額とする方法とする。
一 零
二 零から分配可能額を減じて得た額

10.減資による登記申請手続き

(1)必要書類

要件によって、添付書類は変わってくるが、オーソドックスなものとしては、つぎのとおりか。

  1. 株主総会議事録
  2. 株主リスト
  3. 債権者に対する公告を証する書面
  4. 債権者に対する催告を証する書面
  5. 異議を述べた債権者がいないこと(または異議を述べた債権者に対して適法な対応をしたこと)を証する書面

(2)登録免許税

3万円

関連記事
「資本金等の額の減少」(減資)における公告
1.「資本金等の額の減少」(減資)と基本となる条文 (1)資本金等の額の減少における債権者異議手続きについて 会社法(平成十七年法律第八十六号)(債権者の異議)…
剰余金の配当の手続き(非取締役会設置会社の場合)
1.剰余金の配当のための手続き (1)条文 参照条文 会社法(平成十七年法律第八十六号) (株主に対する剰余金の配当)第四百五十三条 株式会社は、その株主(当該…