会社法と電子署名

2022年5月3日

1.条文

会社法(平成十七年法律第八十六号)
(取締役会の決議)
第三百六十九条
(・・・)
3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
(・・・)

会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号)
(電子署名
第二百二十五条
次に掲げる規定に規定する法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置は、電子署名とする。
一 法第二十六条第二項
二 法第百二十二条第三項
三 法第百四十九条第三項
四 法第二百五十条第三項
五 法第二百七十条第三項
六 法第三百六十九条第四項(法第四百九十条第五項において準用する場合を含む。)
七 法第三百九十三条第三項
八 法第三百九十九条の十第四項
九 法第四百十二条第四項
十 法第五百七十五条第二項
十一 法第六百八十二条第三項
十二 法第六百九十五条第三項
2 前項に規定する「電子署名」とは、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

2.規則225条2項について

「当該情報」=電磁的記録に記録された議事録

「当該措置」=電子署名

と便宜的に理解したうえで。

(1)「当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。」とは

この点については、争いがあった。

争いとなっていたのが「サービス提供事業者のサーバに利用者の署名鍵を設置・保管し、利用者がサーバにリモートでログインした上で自らの署名鍵で当該事業者のサーバ上で電子署名を行う」ものや「サービス提供事業者が利用者の指示を受けて電子署名を行う」ものでも良いかどうか。

当初は法務省がこれを否定していたものの(規制改革会議での回答)、あとになって解釈変更をし肯定されている。(下記HPを参照)

参考記事(外部リンク)
私たち、新経済連盟は、eビジネスやITについての正しい理解・認識をもった上で政策決定をしてもらうために必要な活動を行っています。また、eビジネス・ITを核とした…

(2)「当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。」とは

この点については、電子署名法2条1項2号の解釈と同様に、文書の改ざん検知機能を備える電子署名であればOKとされる。

3.注意点

以上が「会社法」上における電子署名の可否について。

これとは別に、登記手続きに電子署名を利用する場合には、商業登記法で定められた電子署名を利用する必要がある。

この点については、また次回。