目次
1.登記原因証明情報とは
(1)不動産登記法における定義
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
第六十一条
権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
(2)登記原因とは
登記原因証明情報の要素は2つ。
- 登記すべき権利変動の原因となる事実又は法律行為の存在することを証明する情報であること。
- 当該事実又は法律行為に基づき現に権利変動が生じたことを証明する情報であること。
2.登記原因証明情報の様式
(1)登記原因証明情報の2つの形式
申請人が報告形式で作成するパターン
登記原因を証するにたる売買契約書や遺産分割協議書を登記原因証明情報とするパターン
もっとも一般的な「不動産売買(売買契約締結後、代金決済時に所有権移転。)」のケースを念頭に置いて考えると、(1)不動産売買契約を締結したことが上記1(2)1に該当し、(2)当該契約に基づき代金決済が行われ所有権が移転したことが上記2(2)2に該当することになるだろうか。
(2)契約書等を添付するケース
(根)抵当権設定において、抵当権設定契約書を添付するケース。
(根)抵当権抹消において、解除証書・弁済証書を添付するケース。
がパッと思いつくところ。
3.必要な記載事項
記載事項等について法令上の定めはない!
登記原因を(登記申請にあたり)証明する情報(書面)である必要があるということから。
- 登記原因となる法律事実や法律行為および権利変動の事実
- 登記申請情報の要項(登記の目的、登記原因及びその日付、その他登記事項。)(報告形式の場合?)
- 名宛人、認証文(「~を証明する」)、作成日
- 作成名義人の署名(記名押印)
こういった事実の記載や署名(押印)は必要とされている。
4.署名又は記名押印の要否について
申請人により作成される必要があるが、登記義務者のみでも良いとされる。
(登記権利者・登記義務者の双方が署名又は記名押印をする必要はない。)
また、そもそも署名や記名押印についても法令上の定めがないので、申請書等に準じて記名押印または署名でOKとされる。
5.参考資料
(1)Q&A 権利に関する登記の実務 II
小池 信行 (監修), 藤谷 定勝 (監修), 不動産登記実務研究会 (著)『Q&A 権利に関する登記の実務 II 第1編 総論(下): 総論』日本加除出版 (2007/3/1)
(2)法務省HPより
(法務省HP上のリンク元がわからない次の資料参照:
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/000130975.pdf)