目次
1.点呼について
2.遠隔点呼について
(1)対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示(令和5年国土交通省告示第266号)より
「遠隔点呼」は、告示2条1号で定義されている。
運輸規則及び輸送安全規則の規定に基づき、事業者が、機器を用いて、遠隔地にいる運転者等に対して行う点呼をいう。
さらに詳しい実施方法は、告示4条に規定されている。
遠隔点呼は、点呼を行う運行管理者等(運行管理者若しくは補助者又は貨物軽自動車安全管理者をいう。以下同じ。)が属する自社営業所又は自社営業所の車庫と次に掲げるいずれかの場所【次項にて確認】(当該自社営業所と同一の事業及び種別である場合に限る。)との間(以下「遠隔点呼実施地点間」という。)において行うことができる
比較のために、自動点呼の実施について規定した告示8条と比較すると。
務前自動点呼及び業務後自動点呼(以下「自動点呼」という。)は、次に掲げる場所において、自動点呼を受けようとする運転者等の属する営業所の運行管理者等が当該運転者等に対し行うことができるものとする。
遠隔点呼では「運行管理者等」となっている一方で、自動点呼においては「自動点呼を受けようとする運転者等の属する営業所の運行管理者等」とされている。
(2)遠隔点呼が行われる場所(告示4条)
- 自社営業所又は自社営業所の車庫
- 他社営業所又は他社営業所の車庫
- 運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所
ここで4条柱書において「当該自社営業所と同一の事業及び種別である場合に限る」とされている点に留意。
(3)遠隔点呼機器の機能の要件(告示5条)
遠隔点呼機器は、次の要件を満たさなければならない
(主な要件のみを紹介し、かつ告示の記載を大幅に簡略化している。)。
- 遠隔点呼を行う運行管理者等が次に掲げる事項について、映像と音声の送受信により通話をすることができる方法によって、随時明瞭に確認できる機能を有すること。
- 運転者等の顔の表情
- 運転者等の全身
- 運転者の酒気帯びの有無
- 運転者の疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
- 遠隔点呼を行う運行管理者等が、遠隔点呼を受ける運転者の疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無を、平時と比較して確認できる機能を有すること。
- 遠隔点呼を行う運行管理者等が、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第四十七条の二第一項及び第二項の規定による点検の結果【後記のとおり】を確認できる機能を有すること。
- 遠隔点呼を行う運行管理者等が、遠隔点呼を受ける運転者等に伝達すべき事項を確認できる機能を有すること。
- 遠隔点呼を受けた運転者等ごとに、【特定の】事項を電磁的方法により記録し、遠隔点呼実施地点間で共有するとともに、その記録を一年間保存する機能を有すること。
道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)
(日常点検整備)
第四十七条の二
自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。
2 次条【定期点検整備】第一項第一号及び第二号に掲げる自動車の使用者又はこれらの自動車を運行する者は、前項の規定にかかわらず、一日一回、その運行の開始前において、同項の規定による点検をしなければならない。
(・・・)
(4)遠隔点呼機器を設置する施設及び環境の要件(告示6条)
運転者等の顔の表情等を、遠隔点呼を行う運行管理者等が映像と音声の送受信により通話をすることができる方法によって、随時明瞭に確認できる環境照度が確保されていなければいけない。
なりすまし等を防止するため、ビデオカメラその他の撮影機器により、運行管理者等が自動点呼を受ける運転者等の全身を自動点呼の実施中又は終了後に明瞭に確認することができなければいけない。
また、遠隔点呼が途絶せず、運行管理者等と遠隔点呼を受ける運転者等との対話が妨げられないような通信環境を備えている必要もある。
(5)遠隔点呼実施時の遵守事項(告示7条)
主たる遵守事項は、次のとおり。
- 遠隔点呼を行う運行管理者等は、地理情報及び道路交通情報等、事業用自動車の運行の業務を遂行するために必要な情報を有すること。
- 遠隔点呼を行う運行管理者等は、遠隔点呼を遺漏なく行うため、運行中の事業用自動車の位置の把握に努めること。
- 遠隔点呼を行う運行管理者等は、遠隔点呼を受ける運転者等の携行品の保持状況又は返却状況を確認すること。
- 遠隔点呼を行う運行管理者等は、運転者等が事業用自動車の運行の業務に従事することができないと判断した場合、直ちに当該運転者等の属する営業所の運行管理者等に連絡すること。
- 前号の場合にあっては、事業者は、遠隔点呼を行う運行管理者又は貨物軽自動車安全管理者が事業用自動車の運行の業務に従事することができないと判断した運転者等の属する営業所において、代替措置を講じることができる体制を整えること。
- 遠隔点呼機器の故障等により遠隔点呼を行うことが困難になった場合にあっては、遠隔点呼を受ける運転者等の属する営業所の運行管理者等による対面点呼その他の当該営業所で実施が認められている点呼を行うことができる体制を整えること。
