目次
1.点呼に関する条文
(1)条文
旅客自動車運送事業運輸規則(昭和三十一年運輸省令第四十四号)
(点呼等)
第二十四条
旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の業務に従事しようとする運転者又は特定自動運行保安員(以下「運転者等」という。)に対して対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない。
一 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第四十七条の二第一項及び第二項の規定による点検の実施又はその確認
二 運転者に対しては、酒気帯びの有無
三 運転者に対しては、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
四 特定自動運行保安員に対しては、特定自動運行事業用自動車による運送を行うために必要な自動運行装置(道路運送車両法第四十一条第一項第二十号に規定する自動運行装置をいう。)の設定の状況に関する確認
2 旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の業務を終了した運転者等に対して対面により、又は対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法により点呼を行い、当該業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況について報告を求め、かつ、運転者に対しては酒気帯びの有無について確認を行わなければならない。この場合において、当該運転者等が他の運転者等と交替した場合にあつては、当該運転者等が交替した運転者等に対して行つた第十五条の二第八項第十号又は第五十条第一項第八号の規定による通告についても報告を求めなければならない。
3 一般貸切旅客自動車運送事業者は、夜間において長距離の運行を行う事業用自動車の運行の業務に従事する運転者等に対して当該業務の途中において少なくとも一回対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法(当該方法により点呼を行うことが困難である場合にあつては、電話その他の方法)により点呼を行い、次に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない。
一 当該業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況
二 運転者に対しては、疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
4 旅客自動車運送事業者は、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であつて、国土交通大臣が告示で定めるものをいう。以下同じ。)を営業所ごとに備え、常時有効に保持するとともに、第一項及び第二項の規定により酒気帯びの有無について確認を行う場合には、運転者の状態を目視等で確認するほか、当該運転者の属する営業所に備えられたアルコール検知器を用いて行わなければならない。
5 旅客自動車運送事業者は、第一項から第三項までの規定により点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示をしたときは、運転者等ごとに点呼を行つた旨、報告、確認及び指示の内容並びに次に掲げる事項を記録し、かつ、その記録を一年間(一般貸切旅客自動車運送事業者にあつては、その内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第二十六条第一項において同じ。)を三年間)保存しなければならない。
一 点呼を行つた者及び点呼を受けた運転者等の氏名
二 点呼を受けた運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示
三 点呼の日時
四 点呼の方法
五 その他必要な事項
6 一般貸切旅客自動車運送事業者は、第一項から第三項までの規定により点呼を行つたときは、その状況を録音及び録画(電話その他の方法により点呼を行う場合にあつては、録音のみ)して電磁的方法により記録媒体に記録し、かつ、その記録を九十日間保存しなければならない。
7 一般貸切旅客自動車運送事業者は、第一項、第二項及び第四項の規定によりアルコール検知器を用いて運転者の酒気帯びの有無について確認を行うときは、当該確認に係る呼気の検査を行つている状況の写真(当該運転者を識別できるものに限る。)を撮影して電磁的方法により記録媒体に記録し、かつ、その記録を九十日間保存しなければならない。ただし、当該状況を前項の規定により録画する場合はこの限りでない。
(2)整理
運行の業務に従事しようとするときに、まず点呼。
運行の業務を終了したときに、点呼。
一般貸切旅客自動車運送事業者の場合には、夜間において長距離の運行を行う運転者は、いわゆる中間点呼が必要。
点呼の際には、アルコール検知器を用いて、酒気帯びの有無を確認すること。
点呼した記録は1年間保存しなければいけない。
一般貸切旅客自動車運送事業者の場合には、電磁的記録を3年間保存しなければいけない。
一般貸切旅客自動車運送事業者の場合には、各点呼の状況を録音及び録画して電磁的方法により記録媒体に記録し、その記録を90日間保存しなければならない。
一般貸切旅客自動車運送事業者の場合には、アルコール検知器を用いた呼気検査の状況を写真撮影(運転者を識別できるようにすること)して電磁的方法により記録媒体に記録し、90日間保存しなければいけない。
2.対面による点呼と同等の効果を有するもの
(1)対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示(令和5年国土交通省告示第266号)
「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法を定める告示(令和5年国土交通省告示第266号)」に対して、「令和6年国土交通省告示第278号」と「令和7年国土交通省告示第347号」により改正がなされ現在に至っている。
なお上記告示は「旅客自動車運送事業運輸規則」と「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の規定に基づく「対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定める方法により行う点呼」の要件に関して定めるもの。
(2)上記告示による点呼の種類
- 遠隔点呼:
運輸規則及び輸送安全規則の規定に基づき、事業者が、機器を用いて、遠隔地にいる運転者等に対して行う点呼。 - 業務前自動点呼:
運輸規則及び輸送安全規則の規定に基づき、事業者が、機器を用いて、事業用自動車の運行の業務に従事しようとする運転者等に対して行う点呼 - 業務後自動点呼:
運輸規則及び輸送安全規則の規定に基づき、事業者が、機器を用いて、事業用自動車の運行の業務を終了した運転者等に対して行う点呼
(3)遠隔点呼の実施
点呼を行う運行管理者等(運行管理者若しくは補助者)が属する自社営業所又は自社営業所の車庫と、次のいずれかの場所との間において行う。
- 自社営業所又は自社営業所の車庫
- 他社営業所又は他社営業所の車庫
- 運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所
(4)自動点呼の実施
次に掲げる場所において、自動点呼を受けようとする運転者等の属する営業所の運行管理者等が当該運転者等に対し行うことができる。
- 運転者等の属する営業所又は当該営業所の車庫
- 運転者等が自動点呼を受けようとする場所が当該運転者等の属する営業所又は当該営業所の車庫でない場合にあっては、当該業務に係る事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所
