1.条文での現れと定義
(1)単語として登場してくる箇所を確認
一部ではあるが条文を紹介。いずれも民法(明治二十九年法律第八十九号)。
(親族の範囲)
第七百二十五条
次に掲げる者は、親族とする。
一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族
(近親者間の婚姻の禁止)
第七百三十四条
直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
2 第八百十七条の九の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。
(養親子等の間の婚姻の禁止)
第七百三十六条
養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第七百二十九条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。
(2)定義を確認
条文の中では定義されていないので、辞書を調べて確認。
以下「広辞苑」は「広辞苑 第七版(岩波書店; 第七版 (2018/1/12))」、「法律用語辞典」は「有斐閣法律用語辞典〔第5版〕有斐閣 (2020/12/23)」より引用。
直系 | 広辞苑 | 人と人との間の血統が親子の関係で続いている系統 |
法律用語辞典 | ある一人の祖先から子孫へと直通する親系のこと | |
傍系 | 広辞苑 | 直系から分かれ出た系統 |
法律用語辞典 | 自己と同一の始祖をもつ直系から分かれ出た系統 | |
尊属 | 広辞苑 | 親等上、父母と同列以上にある血族。 |
法律用語辞典 | 血族のうち、父母・祖父母など自分より前の世代に属する者。 | |
卑属 | 広辞苑 | 親等上、子と同列以下にある血族。 |
法律用語辞典 | 血族のうち、自分より後の世代にある者。 | |
血族 | 広辞苑 | 同じ先祖から出て血統のつづいている者 |
法律用語辞典 | 同じ先祖をもつ血縁関係にある者(自然血族)及び法律上これと同視される者(法定血族)をいう。 | |
姻族 | 広辞苑 | 配偶者の血族 |
法律用語辞典 | 婚姻によってできた親戚 |
2.まとめ
(1)直系卑属とは
直系卑属とは、親子の関係で続いている血族のうち、卑属(親等上、子と同列以下にある血族。)である者をいう。
血族とは、自然血族と法定血族があるが、法定血族となるのは現行民法では「養子と養親及びその血族」である。
(縁組による親族関係の発生)
第七百二十七条
養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。
第八百八十七条
(・・・)
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
(・・・)
(2)傍系卑属とは
傍系卑属とは、自己と同一の始祖をもつ直系から分かれ出た系統に属する血族のうち、卑属(親等上、子と同列以下にある血族。)である者をいう。