(法務省民二第324号令和2年3月30日民事局長通達より)
- 設定の登記
- 申請者
居住建物の所有者を登記義務者、配偶者居住権を取得した配偶者を登記権利者とする共同申請となる。- 遺贈によって配偶者居住権を取得した場合において、遺言執行者があるときは、遺言執行者が登記義務者として申請することができる。
- 前提として、被相続人が所有権の登記名義人である居住建物について、相続や遺贈を原因とする所有権の移転の登記がされている必要がある。
- 遺産分割の審判の場合、①配偶者が配偶者居住権を取得するとの定め、②登記義務者である居住建物の所有者に配偶者居住権の設定の登記手続をすべきことが命ぜられている場合、には審判に基づき該配偶者居住権を取得した配偶者が単独で設定登記を申請することができる。
- 登記原因証明情報
- 「配偶者が被相続人所有の建物に相続開始の時に居住していた」との要件については、必ずしも当該配偶者の住民票の写し等の提供を要せず、提供された登記原因証明情報中にその旨が明らかになっていればOK。
- 「相続開始の時に法律上被相続人と婚姻をしていた者」との要件については、必ずしも被相続人の住民票の除票の写し等の提供を要せず、提供された登記原因証明情報中にその旨が明らかになっていればOK。
- 特定財産承継遺言(いわゆる相続させる旨の遺言)によって配偶者居住権を取得することはできない。配偶者に配偶者居住権を相続させる旨の記載がされた遺言書を登記原因証明情報として提供する場合にあっては、遺言書の全体の記載からこれを遺贈の趣旨と解することに特段の疑義が生じない限り、配偶者居住権に関する部分を遺贈の趣旨であると解して、当該配偶者居住権の設定の登記を申請する。
- 前提登記において「配偶者に配偶者居住権を取得させ、子などの法定相続人に居住建物を相続させる」旨の記載がされた遺言書を登記原因証明情報として提供する場合にあっては、遺言書の全体の記載からこれを遺贈の趣旨と解することに特段の疑義が生じない限り、居住建物の所有権の帰属に関する部分についても遺贈(負担付遺贈)の趣旨であると考える。
そのため、前提の所有権移転登記の申請は、登記原因が「遺贈」となる。
(※負担付遺贈に関する論点)
- 登記原因および原因日付
- 遺産分割
年月日【遺産分割の協議若しくは調停の成立した年月日又はその審判の確定した年月日】遺産分割 - 遺贈
年月日【遺贈の効力の生じた年月日】遺贈 - 死因贈与
年月日【贈与者の死亡の年月日】死因贈与
(※記載例だと「贈与」になっている?)
- 遺産分割
- 存続期間
存続期間は登記事項とされている。存続期間について別段の定めがない場合には、配偶者の終身の間が存続期間となる。- 存続期間の定めがない場合
配偶者居住権者の死亡時まで(又は年月日から配偶者居住権者の死亡時まで) - 存続期間の定めがある場合
年月日から何年(又は年月日から年月日まで)又は配偶者居住権者の死亡時までのうち、いずれか短い期間- 存続期間の延長・更新はできないが、存続期間の一部を放棄し、これを短縮することはできる。配偶者居住権を取得した配偶者が配偶者居住権の存続期間の一部を放棄した旨の情報を提供することによって、設定登記申請時においても可能であるし、設定後変更登記によって変更することも可能である。
- 第三者に居住建物の使用又は収益をさせることを許す旨の定めがある場合
あらかじめ、この定めを登記することができる。
- 存続期間の定めがない場合
- 抹消の登記
- 申請者
配偶者居住権者を登記義務者とし、居住建物の所有者を登記権利者とする共同申請となる。
ただし、配偶者居住権が配偶者居住権者の死亡によって消滅した場合には、不登法第69条の規定に基づき、登記権利者(居住建物の所有者)は、単独で当該配偶者居住権の登記の抹消を申請することができる。 - その他の事項については、他の一般的な登記の抹消手続と同様
- 登記原因
- 配偶者居住権者の死亡による場合
令和何年何月何日死亡による消滅 - 存続期間の満了による場合
令和何年何月何日存続期間満了 - 合意消滅による場合
令和何年何月何日合意消滅 - 消滅請求による場合
令和何年何月何日消滅請求
- 配偶者居住権者の死亡による場合
- 登録免許税
設定の登記の登録免許税は、不動産の価額の千分の二。
配偶者居住権の設定の仮登記の登録免許税は、不動産の価額の千分の一。
- 申請者
- 申請者