目次
1.産業廃棄物収集運搬業とは
(1)産業廃棄物とは
まずもって「産業廃棄物」は法律上、つぎのように定義されています。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)
(定義)
第二条
(・・・)
4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)
5 この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
(・・・)
そして、産業廃棄物の処理は、つぎのようなプロセスで行われるものとされています。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)
(事業者の処理)
第十二条
事業者は、自らその産業廃棄物(・・・)の運搬又は処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(・・・)に従わなければならない。
政令は引用しませんが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号)第6条が該当します。
同条はつぎのような構成になっています。
- 産業廃棄物の収集又は運搬
- 産業廃棄物の処分
- 産業廃棄物の埋立処分
- 産業廃棄物の海洋投入処分
(2)産業廃棄物収集運搬業の許可とは
(産業廃棄物処理業)
第十四条
産業廃棄物(・・・)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし(・・・)。
(・・・)
6 産業廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を処分する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
条文のタイトルは「産業廃棄物処理業」となっています。
第1項では「産業廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者」について。
第6項では「産業廃棄物の処分を業として行おうとする者」について、定めがなされています。
2.収集運搬業の許可の取得について
(1)静岡県のケースを念頭に
上記静岡県HPに詳しく掲載されていますが、いわゆる「手引」のようなものは発行されていません。
ページ末尾にある「産業廃棄物処理業許可関係事務取扱要領」を参照せよとのことですが、一般事業者の方にとっては、なかなかに読み応えのある内容となっています。
(2)事前予約制
産業廃棄物収集運搬業の許可に関する書類の提出先は、主たる営業区域を管轄する健康福祉センターとなります。
申請にあたっては事前予約が必要です。
電話等での予約を忘れないようにしましょう。
(3)スケジュールに注意!
たとえば沼津市を主たる営業区域とする場合には、書類提出先は「東部健康福祉センター廃棄物課」となります。
この「東部健康福祉センター」の管轄地域は「熱海市・伊東市・沼津市・三島市・裾野市・伊豆市・伊豆の国市・清水町・長泉町・函南町・御殿場市・小山町・富士市・富士宮市」と広範です。
自治体数が多いことから、申請数も多くなります。
そのため、次の点に注意が必要です。
- 書類提出のための予約をとるために数週間~1カ月近くかかることがある!
- 受付してからの標準処理期間は「40日」!
というわけで、なんやかんやで2ヶ月くらいかかってしまうことも。
許可申請にあたっては、まずは予約可能日を確認して、そこから逆算してスケジュールを組み立てていくことをオススメします。
3.株式会社による許可取得
(1)事業目的の記載
静岡県の公表する「産業廃棄物処理業許可関係事務取扱要領」をみると、申請者が株式会社等の法人である場合には、定款や登記事項証明書の提出が必要となっています。
さらに、同書では、つぎのように記載されています。
⑧ 定款又は寄附行為及び登記事項証明書(履歴事項全部証明書)(申請者が法人である場合)
産業廃棄物処理業許可関係事務取扱要領(令和5年4月1日改正版)P.15
ア 定款又は寄附行為の事業目的及び登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の「目的」欄に産業廃棄物の処理を業とする旨(同様の行為を含む。)が含まれていることを確認すること。
(2)事業目的の変更を要する場合
株式会社の場合には、登記されている「目的」欄の変更にあたっては、つぎのような手順を踏む必要があります。
- 株主総会の開催
- 株主総会において「目的」変更を承認
- 法務局に「目的」変更登記申請を申請
- 法務局での書類が完了(1週間程度。法務局や時期によって異なる。)
- 変更が反映された登記事項証明書を取得し、提出。
前述の事務取扱要領では、受付時点で変更後の登記事項証明書が提出できずとも、誓約書等の提出で受付けはしてもらえる旨の記載があります。
(法務局の受領証でもOKとしてくれることもあります。)
株主構成によっては時間のかかる手続きとなります。
スケジュールの組立には注意しましょう!