みなし決議と取締役の関係

2021年11月19日

1.条文

参照条文

会社法(平成十七年法律第八十六号)

(株主総会の決議の省略)
第三百十九条
取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
2 株式会社は、前項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
3 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の書面の閲覧又は謄写の請求
二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第二項の書面又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
5 第一項の規定により定時株主総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時株主総会が終結したものとみなす。

  1. 取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案
  2. 当該提案につき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示

これにより「当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったもの」とみなされる。

会社は、決議があったものとみなされた日から十年間、同意書面を保管する必要がある。

2.議事録への記載事項

参照条文

会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号)

(議事録)
第七十二条 
法第三百十八条第一項の規定による株主総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
2 株主総会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
3 (・・・)
4 次の各号に掲げる場合には、株主総会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一 法第三百十九条第一項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした者の氏名又は名称
ハ 株主総会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
二 法第三百二十条の規定により株主総会への報告があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 株主総会への報告があったものとみなされた事項の内容
ロ 株主総会への報告があったものとみなされた日
ハ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

3.取締役の関与

(1)株主からの提案の場合

場合によっては、取締役が知りえないこともあるように思う。

会社に対する提案・同意であるから、全員が知らないことはないだろう(また議事録作成する取締役も必要。)。

(2)取締役からの提案の場合

論点として、取締役からの提案に際して、取締役会(または取締役の過半数)の承認が必要であるか否かというものがあるようだ。
必要とするのであれば、当然決議内容は了解することになる。
不要とするのであれば、知らないうちに決議が成立してしまうこともあるのか?

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