目次
1.「成年後見関係事件の概況」とは
毎年3月くらいに、最高裁判所事務総局家庭局から、前年中の成年後見関係事件の処理状況についての統計資料が発表されています。
2.申立件数について
申立件数は、は合計で37,235件。
対前年比約3.5%の増加となっています。
類型ごとにみていくと、「後見類型」は前年並みとなっている一方、「保佐・補助」類型が増加しています。
3.審査期間について
利用開始の申立てをしてから後見人の選任等により申立手続きが完了するまでの期間は、2か月以内に完了するものが全体の約70.1%となっています。
個人的な感覚としては、1カ月~1カ月半で終局という印象でした。
4.申立人とご本人との関係について
申立人とご本人との関係については、「市区町村長による申立て」が最も多く全体の約23.9%となりました。続いて「子による申立て」が約21.3%、「ご本人による申立て」が約20.2%となっています。
一昨年の概況においては、「子による申立て」が最も多かったものの、「市区町村長による申立て」が肉薄していました。今回は、ついに「市区町村長による申立て」が最多となっています。
5.申立ての動機について
主な申立ての動機は、「預貯金の管理・解約」が最も多くなっています。続いて、「身上保護」が続きます。
このほかにも、介護保険契約や不動産の処分、相続手続きが動機として多くなっています。
6.成年後見人等と本人との関係について
(1)親族、親族以外の区別
全体の約80.3%が親族以外となっています。
こうしてみると「親族後見人になるのは難しい」と考えられるかもしれませんが、そもそも親族が候補者となっているケースは全体の23.6%にとどまります。
単純に数字のみの比較だと、候補者として親族をあげている多くのケースでは、親族後見人が選任されているものと推測されます。
(2)親族の内訳
内訳は、「子」が54.0%、「兄弟姉妹」が14.0%、「その他親族(甥・姪など)」が17.0%となっています。
配偶者7.8%は、親は7.1%となっています。
(3)親族以外の内訳
弁護士、司法書士、社会福祉士が専門職としての取扱を受けていますが、順番に26.2%、37.9%、18.4%となっています。
7.後見監督人等が選任された事件数について
後見等開始時のうち後見監督人等が選任された事件数は1,138件であり全体(全体34,520件)の約3.3%となっています。
内訳としては、弁護士503件、司法書士490件、社会福祉協議会102件となっています。