中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律

2016年2月11日

1.経営権・遺留分・相続

経営者の死後,経営権を集中して事業承継者に相続させたいのに,他の相続人が遺留分を有していることにより,円滑な事業承継が阻害されてしまうことがあります。

2.中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律

この点については,特例法が制定されています。

「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」です。

本法は,遺留分のみならず,税制面での特例も定められています。

以下は,遺留分に関する条文の抜粋です。

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成二十年五月十六日法律第三十三号)

第四条 
旧代表者の推定相続人は、そのうちの一人が後継者である場合には、その全員の合意をもって、書面により、次に掲げる内容の定めをすることができる。(・・・)
一  当該後継者が当該旧代表者からの贈与又は当該贈与を受けた旧代表者の推定相続人からの相続、遺贈若しくは贈与により取得した当該特例中小企業者の株式等の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこと。
二  前号に規定する株式等の全部又は一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を当該合意の時における価額(・・・)とすること。

第五条
旧代表者の推定相続人は、前条第一項の規定による合意をする際に、併せて、その全員の合意をもって、書面により、後継者が当該旧代表者からの贈与又は当該贈与を受けた旧代表者の推定相続人からの相続、遺贈若しくは贈与により取得した財産(当該特例中小企業者の株式等を除く。)の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができる。

第七条
第四条第一項の規定による合意(・・・)をした後継者は、次の各号のいずれにも該当することについて、経済産業大臣の確認を受けることができる。
一  当該合意が当該特例中小企業者の経営の承継の円滑化を図るためにされたものであること。
二  申請をした者が当該合意をした日において後継者であったこと。
三  当該合意をした日において、当該後継者が所有する当該特例中小企業者の株式等のうち当該合意の対象とした株式等を除いたものに係る議決権の数が総株主又は総社員の議決権の百分の五十以下の数であったこと。

第八条
第四条第一項の規定による合意(・・・)は、前条第一項の確認を受けた者が当該確認を受けた日から一月以内にした申立てにより、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

3.関連リンク

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律について(近畿経済産業局)

残念ながら,例年利用件数が10件前後とのことですが,

http://www.courts.go.jp/app/files/toukei/087/008087.pdf(司法統計))

具体的にどのようなメリットがあるのかというのは整理してみたいです。