有限会社から商号変更により株式会社に移行した際の取締役の任期について

2020年12月17日

1.有限会社の取締役には、役員の任期はない。

参照条文

会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第八十七

(取締役の任期等に関する規定の適用除外)
第十八条 
特例有限会社については、会社法第三百三十二条【取締役の任期】、第三百三十六条【監査役の任期】及び第三百四十三条【監査役の選任に関する監査役の同意等】の規定は、適用しない。

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2.株式会社への商号変更による移行に伴う、取締役の任期計算。

以下、株式会社の取締役の任期は、10年(※正確ではない。以下同じ。)と仮定する。

(1)取締役就任後、すでに10年経過している。

商号変更による移行の登記と同時に当該取締役は任期満了退任する。

当該取締役を継続して取締役とするには、再度、選任手続きを行う必要がある。

なお、定款に補欠・増員規定を定めた場合には、移行による一部取締役の退任により、当該規定が適用され、一緒に退任となることもあるので注意が必要(参考:ハンドブックP.591)。

(2)取締役就任後、まだ10年経過していない。

就任から10年経過した時点で任期満了となる。ただし、上記補欠・増員規定の適用の有無に注意。

3.代表取締役の選定

以下、「非取締役会設置会社。選定方法は、従前どおり取締役互選。」と仮定する。

(1)取締役として退任しないケース

そのまま、継続して代表取締役となる。

(2)代表取締役を予選するケース

移行前後で取締役の構成がかわらないのであれば、予選された取締役による予選が可能。

取締役の構成が変化する場合には、予選不可となるため、移行後の代表取締役を定款附則に定める(このあたりの取扱いにつき、詳細は省略。)。

4.各就任日の登記事項への反映(取締役及び監査役)

大前提として、就任年月日は登記官が職権で行うものとされている点に注意。

(1)移行と同時に選任された取締役

職権。商号変更の登記がなされた日が、就任日として登記される。

(2)既存取締役(創業当初からの取締役でない)

職権。従前の就任日を登記する。

(3)既存取締役(創業当初からの取締役)

職権。創業日を就任日として登記する。

(参考:平成18年3月31日民商782号通達)

5.各就任日の登記事項への反映(代表取締役)

大前提として、就任年月日は登記官が職権で行うものとされている点に注意。
また本記事で前提とする会社構成(非取締役会設置会社。選定方法は、従前どおり取締役互選。)にも留意。

(1)移行前が各自代表のケース

職権。

商号変更の登記がなされた日が、就任日として登記される。

(2)移行前も互選だったケース

職権。

新たな代表取締役については、商号変更の登記がなされた日を記録。

従前からの代表取締役のうち、退任しない者については、特例有限会社の登記記録における就任年月日を移記する。

(3)就任日が空欄となるケースも

上記のような会社構成では該当しなかったが、会社構成によっては、就任年月日が空欄になるケースもある点には留意。

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