株主名簿記載事項証明書および株主名簿の閲覧等について。
1.条文
会社法(平成十七年法律第八十六号)
第百二十二条
前条第一号の株主【株主名簿に記載された株主】は、株式会社に対し、当該株主についての株主名簿に記載され、若しくは記録された株主名簿記載事項を記載した書面の交付又は当該株主名簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
2 前項の書面には、株式会社の代表取締役(・・・)が署名し、又は記名押印しなければならない。
3 第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名【電子署名】又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
4 前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。
会社法(平成十七年法律第八十六号)
第百二十五条
株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一 株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 (・・・)
3 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一 当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
四 請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
4 (・・・)
5 (・・・)
2.整理
122条は、各株主が、株主名簿記載の自己の記載について、会社の証明をもとめるもの。
125条は、株主または債権者が、株主名簿について、閲覧または謄写(コピー)を請求するもの。
122条については、無条件(株券不発行会社である前提)。
125条については、記載ぶりとしては「原則的に公開」すべきもののように読めるが、同条3項各号記載の「請求を拒みうる場合」が広いように思う。
具体的にどのようなケースが同項各号に該当するのかについては、紛争のもと(そもそも開示に至る段階で、そうなのかもしれないが・・・。)になりそうな気が。
かなり強力なツールであるように思う。
【参考】
「公開買い付けへの参加勧誘目的」及び「総会開催時の委任状勧誘目的」での開示請求を認めたケース(東京地裁平成24年12月21日決定)
自ら発行する新聞等の購読料名目の金員の支払を再開させる目的をもってされた嫌がらせあるいは右金員の支払を打ち切ったことに対する報復としてされたものについて、開示請求を拒否したケース(最判平成2年4月17日。「総会屋」関連。)