目次
1.清算結了の登記
(1)条文の確認
会社法(平成十七年法律第八十六号)
第五百七条
清算株式会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、決算報告を作成しなければならない。
2 清算人会設置会社においては、決算報告は、清算人会の承認を受けなければならない。
3 清算人は、決算報告(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の承認を受けたもの)を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければならない。
4 前項の承認があったときは、任務を怠ったことによる清算人の損害賠償の責任は、免除されたものとみなす。ただし、清算人の職務の執行に関し不正の行為があったときは、この限りでない。第四百七十六条
前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。
というわけで、清算が結了ことで法人格は消滅する。
(2)職権閉鎖
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)
第八十一条
次に掲げる場合には、登記官は、当該登記記録を閉鎖することができる。
一 解散の登記をした後十年を経過したとき。
二 次項又は第三項に規定する申出後五年を経過したとき。
2 前項第一号又は第二号に掲げる期間が経過する二月前から当該登記記録を閉鎖するまでの間に、会社が本店の所在地を管轄する登記所に清算を結了していない旨の申出をしたときは、登記官は、前項の規定にかかわらず、当該登記記録を閉鎖することができない。
3 第一項の規定により登記記録を閉鎖した後、会社が本店の所在地を管轄する登記所に清算を結了していない旨の申出をしたときは、登記官は、当該登記記録を復活しなければならない。
4 第一項又は第三項の規定により登記記録を閉鎖し、又は復活したときは、登記官は、遅滞なく、その旨を支店の所在地の登記所に通知しなければならない。
5 前項の通知を受けたときは、登記官は、遅滞なく、登記記録を閉鎖し、又は復活しなければならない。
6 第四十五条後段の規定は、第三項又は前項の規定により登記記録を復活する場合について準用する。第四十五条
閉鎖した登記記録に更に登記をする必要がある場合には、その登記記録を復活しなければならない。この場合には、登記記録中登記記録区にその旨及びその年月日を記録して登記官の識別番号を記録し、第四十三条の規定による記録を抹消する記号を記録しなければならない。
「みなし解散」と異なり「みなし清算」の仕組みはない。「みなし解散」後に登記記録が閉鎖されるのは、上記81条に基づく職権閉鎖による。
職権閉鎖がなされた後に、登記記録を復活させるには「清算未了の申出」を行う。
この後検討する、「清算結了登記の抹消申請」とは異なる。
申出をして、職権にて記録を復活させる。
2.清算結了登記をしたものの清算未了が発覚した場合
(1)結了登記の抹消
清算結了の決議を行い、登記も経たものの、実は清算未了の財産が発覚した場合には、実態上「清算が結了していない状態であった」ということになる。
そのため、「清算結了の決議」「当該決議に基づく清算結了登記」が、登記法上の「錯誤」(すなわち無効。ややこしい。)となる。
無効であるなら抹消しなければならない。
(2)抵当権抹消のケース
こちらは不動産登記法上、特殊な扱いをされている。
(登記研究151号48頁を参照。)
3.上申書と印鑑証明書
(1)上申書の体裁について
上申書は、清算人(清算結了していないので現在も清算人である。)から、錯誤であった旨を上申する。
【登記研究493号137頁:清算未了の財産が確認できる資料を添付すべき?】
【昭和35年12月16日 民事四発227号民事局課長心得回答:登録免許税は、清算に係る登記の変更等に係る区分とする。】
押印については、明示した文献を確認できなかったが、印鑑登録は再度しなければいけないので旧「会社代表印」を押印するのは適当でないように思う。
じゃあ、わざわざ清算人の個人実印を押印させるのかというと、はてさて(虚無人による閉鎖会社の復活を防止するために必要云々という文献をみた記憶があるが、記憶曖昧。)。閉鎖登記の清算人住所と異なっていたら、上申書に住所変更を証する書面も添付しないといけないのか?
(2)結局は印鑑届が必要
とはいえ、印鑑届を再提出する必要があり、そのため印鑑届書に個人実印の押印と、印鑑証明書の添付が必要である。