目次
1.モデルケース(包括受遺者と相続人とが遺産分割協議をするケース)
甲が次のような遺言を残して死亡した。
「全財産の2分の1を子Xに相続させる。全財産の2分の1をXの妻Yに遺贈する。」
(Yは、甲の法定相続人ではない。)
(相続財産は、甲が単独所有する土地1筆のみとする。)
パターン1:Yが単独取得するとの協議が成立
パターン2:Xが単独取得するとの協議が成立
それぞれで、どのような登記手続きになるか。
2.遺産分割協議なしで登記するとき
(1)登記名義人Yとする「遺贈」を登記原因とする所有権移転登記
持分2分の1について、登記原因「遺贈」であるから、受遺者Yと甲の相続人全員または遺言執行者とが、共同申請により登記手続きを行う。
(2)登記名義人Xとする「相続」を登記原因とする所有権移転登記
持分2分の1について、こちらはXの単独申請。
※さきに「相続」登記をすることはできない。【参考:昭30.10.15民甲2216回答】。
3.パターン1(包括受遺者Yが単独取得するとの協議)による登記
- 登記名義人Yとする「遺贈」を登記原因とする所有権移転
- 登記名義人Xとする「相続」を登記原因とする所有権移転登記
- X持分について、登記名義人Yとする「遺産分割」を登記原因とする所有権移転登記を、XとYとで申請する。
直接「遺贈」により登記する見解もあるが、そもそも「遺贈」については共同申請によるとの大原則があるところ、遺産分割協議による結果としてYが単独所有となるという登記申請を、遺言執行者とYとで行うのは、遺言執行者の職務権限に属するものとはいえないとされる(「相続法と登記」(新訂P356))。
(では、XとYが共同申請するならOKなのだろうか?この点、検討不足。)
協議の結果、Yの単独所有になったということは、遺言とは無関係というべきなのだろう。
4.パターン2(相続人Xが単独取得するとの協議)
登記名義人Xとする「相続」を登記原因とする所有権移転登記をおこなう。
なんだか、パターン1と比べると、大きな差があるが「遺贈=共同申請」というのが大きいか。。
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