介護サービス事業の指定と定款の目的

1.介護サービスとは

(1)定義

「介護保険法(平成九年法律第百二十三号)」において、「介護サービス」という単語が、つぎのように定義されている。

参照条文

介護保険法(平成九年法律第百二十三号)

(介護サービス情報の報告及び公表)
第百十五条の三十五 
介護サービス事業者は、指定居宅サービス事業者、指定地域密着型サービス事業者、指定居宅介護支援事業者、指定介護老人福祉施設、指定介護予防サービス事業者、指定地域密着型介護予防サービス事業者若しくは指定介護予防支援事業者の指定又は介護老人保健施設若しくは介護医療院の許可を受け、訪問介護、訪問入浴介護その他の厚生労働省令で定めるサービス(以下「介護サービス」という。)の提供を開始しようとするときその他厚生労働省令で定めるときは、政令で定めるところにより、その提供する介護サービスに係る介護サービス情報(介護サービスの内容及び介護サービスを提供する事業者又は施設の運営状況に関する情報であって、介護サービスを利用し、又は利用しようとする要介護者等が適切かつ円滑に当該介護サービスを利用する機会を確保するために公表されることが必要なものとして厚生労働省令で定めるものをいう。以下同じ。)を、当該介護サービスを提供する事業所又は施設の所在地を管轄する都道府県知事に報告しなければならない。

くわしくは介護保険法施行規則で定めるとなっており、具体的には規則140条の43に定めがある。

(2)介護サービスの分類・種類

厚生労働省HPによれば、介護保険法に基づく介護サービスは「全26種類54サービス」があるようだ。

「介護サービス」は前述の規則140条の43において定義されている。
単語だけ抜きだすと、次のとおり。

居宅サービス(法8条1項)訪問介護
訪問入浴介護
訪問看護
訪問リハビリテーション
通所介護
通所リハビリテーション
短期入所生活介護
短期入所療養介護
特定施設入居者生活介護
福祉用具貸与
特定福祉用具販売
地域密着型サービス(法8条14項)定期巡回・随時対応型訪問介護看護
夜間対応型訪問介護
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
認知症対応型共同生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
複合型サービス
居宅介護支援(法8条24項)居宅介護支援
施設サービス(法8条26項)介護福祉施設サービス
介護保健施設サービス
介護医療院サービス
介護予防サービス(法8条の2第1項)介護予防訪問入浴介護
介護予防訪問看護
介護予防訪問リハビリテーション
介護予防通所リハビリテーション
介護予防短期入所生活介護
介護予防短期入所療養介護
介護予防特定施設入居者生活介護
介護予防福祉用具貸与
特定介護予防福祉用具販売
地域密着型介護予防サービス
(法8条の2第12項)
介護予防認知症対応型通所介護
介護予防小規模多機能型居宅介護
介護予防認知症対応型共同生活介護
表「規則140条の43」

数えてみると、36しかない。

残りは何なのか?

(3)介護サービス54種類とは

参考記事(外部リンク)

【公表の対象となるサービスおよび事業所】

公益財団法人東京都福祉保健財団の運営する「とうきょう福祉ナビゲーション」より

上記リンク先の「【報告書の分類】(本体サービスと予防サービスを一体化して報告)」という表において対象種別として番号が54個振られている。

消し込みをした結果、規則140条の43に記載がない又は細分化されているものを、つぎのとおり確認した。

【規則140条の43での記載】【サービス名】
なし指定療養通所介護
特定施設入居者生活介護
※右記のとおり細分化
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム・外部サービス利用型)
特定施設入居者生活介護(軽費老人ホーム)
特定施設入居者生活介護(軽費老人ホーム・外部サービス利用型)
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム(サ高住))
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム(サ高住(外部サービス利用型)))
介護予防特定施設入居者生活介護
※右記のとおり細分化
介護予防特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)
介護予防特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム・外部サービス利用型)
介護予防特定施設入居者生活介護(軽費老人ホーム)
介護予防特定施設入居者生活介護(軽費老人ホーム・外部サービス利用型)
介護予防特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム(サ高住))
介護予防特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム(サ高住(外部サービス利用型)))
地域密着型特定施設入居者生活介護
※右記のとおり細分化
地域密着型特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)
地域密着型特定施設入居者生活介護(軽費老人ホーム)
地域密着型特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム(サ高住))
短期入所療養介護
※右記のとおり細分化
短期入所療養介護(介護老人保健施設)
短期入所療養介護(療養病床を有する病院等)
短期入所療養介護(介護医療院)
介護予防短期入所療養介護
※右記のとおり細分化
介護予防短期入所療養介護(介護老人保健施設)
介護予防短期入所療養介護(療養病床を有する病院等)
介護予防短期入所療養介護(介護医療院)
なし介護療養型医療施設
表「対象種別」

この表では「介護サービス」として23種類を記載している。
(うち上記(2)表のサービス5つと重複している。)

結果として「36+23-5=54」となる!

2.法人(社会福祉法人を除く)における目的への記載

(1)指定申請にあたり目的への記載を要する

介護サービスの提供をするためには、都道府県知事等による指定(許可)を受ける必要がある。

例として静岡県における「介護保険サービスの提供をするための指定」について案内をするページ。

参考記事(外部リンク)

リンク先を進み、たとえば「訪問介護」に関する「指定申請書添付書類チェックリスト」をみると、提出すべき書類として「登記事項全部証明書」が記載されており、さらに備考として、つぎのように記載されている。

法務局登記印の原本。
実施するサービスが記載されたもの。
直近の内容が表示された概ね申請日3ヶ月以内のものが望ましい。

「実施するサービスが記載」とされている。

(2)目的の記載例

横浜市の記載例がわかりやすかったので参照。

インターネットでいくつかの市町を調べてみたところ、54種の細かなサービス名までの記載は不要とする扱いが多いように思う。
一方で、同様のサービスであっても記載例に表現の差があったりもしたので、状況に応じて指定申請をうける都道府県等への確認が肝要と思われる。

参考記事(外部リンク)
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/fukushi-kaigo/kaigo/shinsei/kyotaku/common.files/teikan_kakikata.pdf

「介護保険法に基づく各種サービスの定款への事業名の記載について」横浜市HPより

参考までに介護保険法における記載を参照。

居宅サービス
(法8条1項)
この法律において「居宅サービス」とは、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売をいい、「居宅サービス事業」とは、居宅サービスを行う事業をいう。
地域密着型サービス(法8条14項)この法律において「地域密着型サービス」とは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護及び複合型サービスをいい、「特定地域密着型サービス」とは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護及び複合型サービスをいい、「地域密着型サービス事業」とは、地域密着型サービスを行う事業をいう。
居宅介護支援(法8条24項)この法律において「居宅介護支援」とは、(・・・)「指定居宅サービス等」(・・・)の適切な利用等をすることができるよう、当該居宅要介護者の依頼を受けて(・・・)「居宅サービス計画」(・・・)を作成するとともに、当該居宅サービス計画に基づく指定居宅サービス等の提供が確保されるよう(・・・)その他の者との連絡調整その他の便宜の提供を行い、並びに当該居宅要介護者が地域密着型介護老人福祉施設又は介護保険施設への入所を要する場合にあっては、地域密着型介護老人福祉施設又は介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行うことをいい、「居宅介護支援事業」とは、居宅介護支援を行う事業をいう。
施設サービス(法8条26項)この法律において「施設サービス」とは、介護福祉施設サービス、介護保健施設サービス及び介護医療院サービスをいい、「施設サービス計画」とは、介護老人福祉施設、介護老人保健施設又は介護医療院に入所している要介護者について、これらの施設が提供するサービスの内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画をいう。
介護予防サービス(法8条の2第1項)この法律において「介護予防サービス」とは、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導、介護予防通所リハビリテーション、介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護、介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防福祉用具貸与及び特定介護予防福祉用具販売をいい、「介護予防サービス事業」とは、介護予防サービスを行う事業をいう。
地域密着型介護予防サービス
(法8条の2第12項)
この法律において「地域密着型介護予防サービス」とは、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護及び介護予防認知症対応型共同生活介護をいい、「特定地域密着型介護予防サービス」とは、介護予防認知症対応型通所介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護をいい、「地域密着型介護予防サービス事業」とは、地域密着型介護予防サービスを行う事業をいう。
介護予防支援(法8条の2第16項)この法律において「介護予防支援」とは、居宅要支援者が(・・・)「指定介護予防サービス等」(・・・)の適切な利用等をすることができるよう、(・・・)当該居宅要支援者の依頼を受けて(・・・)「介護予防サービス計画」(・・・)を作成するとともに、当該介護予防サービス計画に基づく指定介護予防サービス等の提供が確保されるよう、(・・・)その他の者との連絡調整その他の便宜の提供を行うことをいい、「介護予防支援事業」とは、介護予防支援を行う事業をいう。
第一号事業(法115条の45第1項)(省略)
表「規則140条の43」

以上のとおりだが、筆者の知識不足のため、用語と実際の事業とが全くリンクしない。
より一層の勉強が必要である・・。

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