障害福祉サービス事業の指定と定款の目的

1.障害福祉サービスとは

(1)定義

障害福祉に関するサービスは、次の2つに分類できる。

「障害福祉サービス」個々の障害のある人々の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)を踏まえ、個別に支給決定が行われるもの。
「地域生活支援事業」市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる事業。

法令上は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)」(いわゆる「障害者総合支援法」)5条において定義されている。

(2)障害福祉サービスの分類・種類

詳細は、厚労省HPを参照。

参考記事(外部リンク)
障害福祉サービスの内容について紹介しています。

障害福祉サービスが、次のように分類されている。

「介護給付」介護の支援を受ける場合
「訓練等給付」訓練等の支援を受ける場合

さらに、再分類は次のとおり。

【介護給付】

  • 訪問系
    :居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援
  • 日中活動系
    :短期入所、療養介護、生活介護
  • 施設系
    :施設入所支援

【訓練等給付】

  • 居住支援系
    :自立生活援助、共同生活援助
  • 訓練系・就労系
    :自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、就労定着支援

(おまけ)「相談支援」に関して

まず「相談支援」は次のとおり分類することができる。

  • 基本相談支援
  • 地域相談支援(地域移行支援及び地域定着支援をいう。)
  • 計画相談支援(サービス利用支援及び継続サービス利用支援をいう。)

そして事業ごとの分類としては、つぎのとおり。

一般相談支援事業基本相談支援及び地域相談支援のいずれも行う事業
特定相談支援事業基本相談支援及び計画相談支援のいずれも行う事業

上記3つの「支援」の内容は、つぎのとおり。
(乱暴に要約するので、一部不正確な点があることに留意。)

基本相談支援地域の障害者等の福祉に関する各般の問題につき、相談対応、情報提供、助言、連絡調整をする。(サービス利用支援及び継続サービス利用支援に関するものを除く。)
地域移行支援障害者支援施設等に入所している障害者又は精神科病院に入院している精神障害者など、地域における生活に移行するために重点的な支援を必要とする者につき、住居の確保その他の地域における生活に移行するための活動に関する相談対応等をすること。
地域定着支援居宅において単身等で生活する障害者につき、当該障害者との常時の連絡体制を確保し、当該障害者に対し、障害の特性に起因して生じた緊急事態などに相談対応等をすること。
サービス利用支援「サービス等利用計画案」を作成し、支給決定等が行われた後に、関係者との連絡調整その他の便宜を供与するとともに、当該支給決定等に係る障害福祉サービス又は地域相談支援の種類及び内容等を記載した計画(サービス等利用計画)を作成すること。
継続サービス利用支援支給決定を受けた障害者若しくは障害児の保護者(以下「支給決定障害者等」という。)又は地域相談支援給付決定を受けた障害者(以下「地域相談支援給付決定障害者」という。)が、有効期間内において継続して障害福祉サービス又は地域相談支援を適切に利用することができるよう、サービス等利用計画が適切であるかどうかにつき、定期的な検証をおこない、サービス等利用計画の見直しをすること。
その見直しの結果に基づき、関係者と連絡調整をしたり、新たな支給申請を勧奨すること。

2.法人(社会福祉法人を除く)における目的への記載

(1)指定申請にあたり目的への記載を要する

障害福祉サービス等の提供をするためには、都道府県知事等による指定を受ける必要がある。

例として静岡県における「障害福祉サービス等の提供をするための指定」について案内をするページ。

参考記事(外部リンク)

リンク先を進み、たとえば「」に関する「申請(新規)チェックリスト」をみると、提出すべき書類として「登記事項証明書(過去3ヶ月以内に発行されたもの)」が記載されており、さらに提出において注意いただきたい点として、つぎのように記載されている。

・原本の提出をお願いします。

・「目的欄」において障害福祉サービス事業にふれている必要があります。

「ふれている」という表現が、すこし独特なように感じるが、要するに提供予定のサービス等が法人の目的として記載されていることを要するということであろう。

(2)目的の記載例

茨城県の記載例がわかりやすかったので参照。

参考記事(外部リンク)
https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/shofuku/jiritsu/shofuku/e/documents/005.pdf

「実施事業の定款への記載方法について」茨城県HPより

上記1(2)の介護給付・訓練等給付に関する事業指定を受けるにあたっては、
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」というのが包括的記載になる。

このほかに各種相談支援(一般・特定)や地域活動支援センターに関しては、たとえば
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく一般相談支援事業及び特定相談支援事業」とか「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく地域活動支援センター」と記載をする。

障害福祉サービス障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業
相談支援障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく一般相談支援事業及び特定相談支援事業
地域活動支援センター障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく地域活動支援センター

とはいえ、個別サービスの記載を求めるケースもあったと聞くので、具体的な指定申請にあたっては(当然に事前相談がなされるのであろうが)申請先の都道府県・市町に確認をすべし。
(参照した茨城県の記載例では「個別に事業名を記載してもよいが・・・事業名を正確に記載」との注意書きが付されている。)

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