目次
1.評議員とは
社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)
(評議員の選任)
第三十九条
評議員は、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者のうちから、定款の定めるところにより、選任する。
(評議員の資格等)
第四十条
次に掲げる者は、評議員となることができない。
一 法人
二 心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として厚生労働省令で定めるもの
三 生活保護法、児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法又はこの法律の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
四 前号に該当する者を除くほか、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者
五 第五十六条第八項の規定による所轄庁の解散命令により解散を命ぜられた社会福祉法人の解散当時の役員
六 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(第百二十八条第一号ニ及び第三号において「暴力団員等」という。)
2 評議員は、役員又は当該社会福祉法人の職員を兼ねることができない。
3 評議員の数は、定款で定めた理事の員数を超える数でなければならない。
4 評議員のうちには、各評議員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各評議員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が含まれることになつてはならない。
5 評議員のうちには、各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が含まれることになつてはならない。
(評議員の任期)
第四十一条
評議員の任期は、選任後四年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、定款によつて、その任期を選任後六年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで伸長することを妨げない。
2 前項の規定は、定款によつて、任期の満了前に退任した評議員の補欠として選任された評議員の任期を退任した評議員の任期の満了する時までとすることを妨げない。
法39条の「定款の定めるところ」については厚労省のモデル定款では、つぎのように規定されている。
(評議員の選任及び解任)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13318.html「社会福祉法人定款例」
第六条
この法人に評議員選任・解任委員会を置き、評議員の選任及び解任は、評議員選任・解任委員会において行う。
2 評議員選任・解任委員会は、監事○名、事務局員○名、外部委員○名の合計○名で構成する。
3 選任候補者の推薦及び解任の提案は、理事会が行う。評議員選任・解任委員会の運営についての細則は、理事会において定める。
4 選任候補者の推薦及び解任の提案を行う場合には、当該者が評議員として適任及び不適任と判断した理由を委員に説明しなければならない。
5 評議員選任・解任委員会の決議は、委員の過半数が出席し、その過半数をもって行う。ただし、外部委員の○名以上が出席し、かつ、外部委員の○名以上が賛成することを要する。
評議員選任のながれをまとめると、つぎのとおり。
- 評議員選任・解任委員会を設置。
- 理事会が、評議員選任・解任委員会に、選任候補者を推薦。
- 評議員選任・解任委員会が決議により、評議員を選任。
2.評議員会とは
社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)
(評議員会の権限等)
第四十五条の八
評議員会は、全ての評議員で組織する。
2 評議員会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
3 この法律の規定により評議員会の決議を必要とする事項について、理事、理事会その他の評議員会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。
4 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百八十四条から第百八十六条まで及び第百九十六条の規定は、評議員について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第184条から第186条については、記載は省略するが「評議員提案権」に関する規定。
3.評議員会の議事録
(1)議事録作成の義務
社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)
(議事録)
第四十五条の十一
評議員会の議事については、厚生労働省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2 社会福祉法人は、評議員会の日から十年間、前項の議事録をその主たる事務所に備え置かなければならない。
3 社会福祉法人は、評議員会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその従たる事務所に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもつて作成されている場合であつて、従たる事務所における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として厚生労働省令で定めるものをとつているときは、この限りでない。
4 評議員及び債権者は、社会福祉法人の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 第一項の議事録が書面をもつて作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求
二 第一項の議事録が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
(2)議事録の記載内容(署名押印等に関する規定は?)
社会福祉法施行規則(昭和二十六年厚生省令第二十八号)
(評議員会の議事録)
第二条の十五
法第四十五条の十一第一項の規定による評議員会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
2 評議員会の議事録は、書面又は電磁的記録をもつて作成しなければならない。
3 評議員会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 評議員会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない評議員、理事、監事又は会計監査人が評議員会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)
二 評議員会の議事の経過の要領及びその結果
三 決議を要する事項について特別の利害関係を有する評議員があるときは、当該評議員の氏名
四 次に掲げる規定により評議員会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
イ 法第四十三条第三項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十四条第一項(法第四十三条第三項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十四条第四項において準用する場合を含む。)
ロ 法第四十三条第三項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十四条第二項(法第四十三条第三項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十四条第四項において準用する場合を含む。)
ハ 法第四十五条の十八第三項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百二条
ニ 法第四十五条の十八第三項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百五条第三項
ホ 法第四十五条の十九第六項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百九条第一項
ヘ 法第四十五条の十九第六項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百九条第二項
五 評議員会に出席した評議員、理事、監事又は会計監査人の氏名又は名称
六 評議員会の議長が存するときは、議長の氏名
七 議事録の作成に係る職務を行つた者の氏名
4 次の各号に掲げる場合には、評議員会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一 法第四十五条の九第十項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百九十四条第一項の規定により評議員会の決議があつたものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 評議員会の決議があつたものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした者の氏名
ハ 評議員会の決議があつたものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行つた者の氏名
二 法第四十五条の九第十項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第百九十五条の規定により評議員会への報告があつたものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 評議員会への報告があつたものとみなされた事項の内容
ロ 評議員会への報告があつたものとみなされた日
ハ 議事録の作成に係る職務を行つた者の氏名
議事録作成者の氏名は記載するが、署名押印等の義務はない。
モデル定款では、つぎのとおり。
(議事録)
第一四条
評議員会の議事については、法令で定めるところにより、議事録を作成する。
2 出席した評議員及び理事は、前項の議事録に記名押印する。(備考一)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13318.html「社会福祉法人定款例」
記名押印ではなく署名とすることも可能。
(備考二)
第二項にかかわらず、議長及び会議に出席した評議員のうちから選出された議事録署名人二名がこれに署名し、又は記名押印することとしても差し支えないこと。
モデル定款によれば、出席した「評議員」と「理事」が記名押印をすることに。
これだと人数が多くなるので、「備考二」では、「評議員のうちから選出された議事録署名人2名」と定款規程を変えることも可とされている。
4.理事長の変更登記との関係
(1)各種法人等登記規則
各種法人等登記規則(昭和三十九年法務省令第四十六号)
(商業登記規則等の準用)
第五条
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第一条の二第一項、第二条から第六条まで、第九条から第十一条まで、第十三条から第二十二条まで、第二十七条から第四十五条まで、第四十八条から第五十条まで、第五十三条第二項、第五十八条から第六十条まで、第七十五条、第九十八条から第百四条まで、第百六条から第百九条まで、第百十一条、第百十二条及び第百十四条から第百十八条までの規定は各種法人等の登記について、商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第四十六条第一項並びに同規則第一条の二第二項、第六十一条第一項、第六項及び第八項、第六十五条から第六十八条まで、第七十条から第七十四条まで、第七十六条から第七十八条まで、第八十条から第八十一条の二まで、第百十条並びに第百十三条の規定は各種法人の登記について、同規則第一条の二第三項、第九十三条、第九十四条第二項、第九十五条、第九十六条第一項(第三号から第六号までを除く。)及び第二項並びに第九十七条の規定は各種外国法人の登記について準用する。この場合において、同規則第一条の二第一項中「登記所及び次の各号に掲げる区分」とあるのは「登記所」と、同条第二項中「法第七十九条に規定する新設合併」とあるのは「新設合併」と、同規則第九十六条第一項第二号中「登記所の管轄区域内に日本における代表者の住所地がある場合(すべての日本における営業所を閉鎖した場合に限る。)」とあるのは「清算の開始の命令がある場合」と読み替えるものとする。
商業登記規則61条の1項・6項・8項だけが準用。
(2)商業登記規則
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)
(添付書面)
第六十一条
定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。
(・・・)
6 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑
(・・・)
8 代表取締役若しくは代表執行役又は取締役若しくは執行役(登記所に印鑑を提出した者がある場合にあつては当該印鑑を提出した者に限り、登記所に印鑑を提出した者がない場合にあつては会社の代表者に限る。以下この項において「代表取締役等」という。)の辞任による変更の登記の申請書には、当該代表取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて行う場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、登記所に印鑑を提出した者がある場合であつて、当該書面に押印した印鑑と当該代表取締役等が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
(・・・)
押印との関係では61条6項に該当するかどうか。
基本的には、理事会にて理事長の選定は行われるから、評議員会議事録の出番はないか。