養子の親族関係について

2022年1月19日

1.養子縁組による親族関係

参照条文

民法(明治二十九年法律第八十九号)
第七百二十七条
養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。

  1. 「養子」と「養親及びその血族」との間に、「血族」としての親族関係が発生する。
  2. そのため、養子縁組前に「養子の子」であった者と「養親及びその血族」との間には、親族関係は発生しない。
    代襲相続との関係では、養子縁組前の養子の子は、被相続人の直系尊属には該当しない。
    (注:養子縁組前の養子の子が、もともと被相続人の直系尊属であったケース。)

2.養子離縁による親族関係

参照条文

第七百二十九条
養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する。

  1. 「養子及びその配偶者」並びに「養子の直系卑属及びその配偶者」と
    「養親及びその血族」との親族関係は、離縁により終了。
  2. 「養子の直系卑属」と「養親及びその血族」との親族関係も終了することになる。

3.代襲相続

参照条文

第八百八十七条
被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

第八百八十八条
削除

第八百八十九条
次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。

887条2項による代襲相続において、代襲相続の要件(被代襲者が死亡した場合に限る。)は、つぎのとおり。

  1. 被相続人の子(被代襲者)が、相続開始以前に死亡。
  2. 被代襲者の子が、被相続人の直系卑属であること。

代襲者が被相続人との関係で要求される条件は「被相続人の直系卑属」ということ。

889条2項による代襲相続において、代襲相続の要件(被代襲者が死亡した場合に限る。)は、つぎのとおり。

  1. 被相続人の兄弟姉妹(被代襲者)が、相続開始以前に死亡。
  2. 被代襲者の子が、被相続人の「・・・」であること。

889条2項において準用される887条2項において、但書き(代襲者は、被相続人の直系尊属であること)はどのように理解されるのか?シンプルに傍系卑属となるのか?

【241112追記:上記疑問については、下記の関連記事を参照のこと】

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