非公開の取締役会設置会社。
株主数は10名程度で、議決権の書面行使等は利用しない。
という想定で。
1.本来の流れ
(1)取締役会の開催
(2)取締役会における開催事項の決定(会社法298条4項)
(3)株主への招集通知(会社法299条)
(4)株主総会の開催
会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)
第二百九十八条
取締役(・・・)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株主総会の日時及び場所
二 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
三 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
四 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
(・・・)
4 取締役会設置会社においては、前条第四項の規定により株主が株主総会を招集するときを除き、第一項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。
第二百九十九条
株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(・・・公開会社でない株式会社にあっては、一週間・・・)前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。
2 次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。
一 前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合
二 株式会社が取締役会設置会社である場合
3 (・・・)
4 前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
2.招集手続きの省略(会社法300条)
(1)株主全員の同意があれば、株主に対する招集手続きを省略することができる。
(2)この場合、同意した株主が総会に出席する必要はない。
(3)同意の方法について、法定された方式はないが、後日の紛争に備え書面で同意を得ておくべき。
(4)なお、招集決定は省略できないので注意(参照:会社法298条)。
会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)
第三百条
前条の規定にかかわらず、株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。ただし、第二百九十八条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない。
3.全員出席総会(最判昭和46.6.24、最判昭和60.12.20。)
この場合には、招集決定すらも省略できるが、一方で、字面どおりに株主全員が出席する必要がある。
最判昭和60年12月20日
要旨
「株主総会を招集するためには招集権者による招集の手続を経ることが必要であるとしている趣旨は、全株主に対し、会議体としての機関である株主総会の開催と会議の目的たる事項を知らせることによって、これに対する出席の機会を与えるとともにその議事及び議決に参加するための準備の機会を与えることを目的とするものであるから、招集権者による株主総会の招集の手続を欠く場合であっても、株主全員がその開催に同意して出席したいわゆる全員出席総会において、株主総会の権限に属する事項につき決議をしたときには、右決議は有効に成立する」
4.株主総会決議の省略(会社法319条)
招集手続きはもちろん、株主総会の開催すらも不要となる。なお、「決議があった」とみなされるため所定の方式による「株主総会議事録」の作成が必要となる(施行規則72条4項)。
会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)
第三百十九条
取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
会社法施行規則(平成十八年二月七日法務省令第十二号)
第七十二条
(・・・)
4 次の各号に掲げる場合には、株主総会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一 法第三百十九条第一項 の規定により株主総会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした者の氏名又は名称
ハ 株主総会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
二 (・・・)
ちなみに、みなし決議の場合にも株主リストの添付が必要。
商業登記規則(昭和三十九年三月十一日法務省令第二十三号)
第六十一条
(・・・)
3 登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主(・・・)の議決権(当該決議(会社法第三百十九条第一項 (・・・)の規定により当該決議があつたものとみなされる場合を含む。)において行使することができるものに限る。以下この項において同じ。)の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主であつて、次に掲げる人数のうちいずれか少ない人数の株主の氏名又は名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数(・・・)及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面を添付しなければならない。
一 十名
二 その有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が三分の二に達するまでの人数