1.モデルケース(2人の取締役がいる有限会社)
こんなケースを想定してみる。
有限会社
取締役2名。
任期の定めはない(定款でも定めていない)。
代表取締役は、定款にて「~取締役2名をおき、代表取締役は取締役の互選により定める。」とされている。
現在、取締役はAさん、Bさんの2名。代表取締役はBさんが登記されている。
このケースを「モデルケース」として以下検討を進める。
2.取締役の辞任と新任取締役の選任
モデルケースにおいて、Aさんが辞任した。
Aさんの辞任を受けて、その後任として、株主総会においてCさんを選任した。
では、ここで代表取締役の資格はどうなるのか?
3.先例【昭和42年5月1日民事甲第1012号局長回答】
関連すると思われる部分について要約すると下記のとおり。
代表権のない取締役の辞任(それによって代表取締役であった取締役1名となった)と、後任の取締役の就任とか同時になされた場合の変更登記の扱いについて、どう考えればよいか?
⇒残存取締役の代表取締役たる資格がそのまま維持されるので、取締役の辞任及び就任の登記のみを申請すればたりる。
昭和42年5月1日民事甲第1012号局長回答
先例上での定款規定は、「取締役を2名おき、取締役の互選をもつて1名を代表取締役とする。」とされている。
そのため、後任を選任するまでは、辞任した取締役は権利義務取締役となる。
辞任登記をするためには、後任を選任する必要があり、結果的に「辞任」による登記と「就任」による登記は一緒のタイミングでなされることになる。
4.雑感
結論としては、上記の通りです(神崎「特例有限会社の登記Q&A」P133参照。同趣旨か?)。
「資格はそのまま維持される」ということは、選定行為不要との結論です。
とはいえ、有限会社のため任期の制限がなく、AとBによる代表取締役の選定の効力が、取締役の構成が変更された後も、ずっと続くことになるのはどうなのだろうと、個人的には思います(任期10年の株式会社でも大差ないか。。。)。
ちなみに先例中では、別説として「辞任→代取抹消(資格喪失)→就任→代取就任(選定)」が挙げられているが、否定されています。
「辞任→(資格喪失)→就任→(選定)」として、代表取締役がかわらなければ登記不要というのはダメなのでしょうか(参照:ハンドブック第3版P389の注記)。
また上記先例については、登研235号40頁に解説が掲載されています。