休眠会社の整理とその後の手続き

2017年3月29日

0.「休眠会社の整理」とは

休眠会社:

株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から十二年を経過したもの。

12年となっているのは、役員の任期が最長10年とされているところ、活動している会社であれば、少なくとも12年の間には必ず登記がなされるはずだという考えによるところです。

休眠会社の整理は、つぎのような流れをたどります。

  1. 最後の登記があった日から12年経過
  2. 法務大臣が、その会社を官報公告。
  3. 登記所は、公告があった会社に対して通知。
  4. 公告後、2カ月の期間満了時に、会社は解散したものとみなされる。
  5. 会社を継続する場合、解散後3年以内に会社継続の登記をする。

活動していない会社については、法的に「解散登記」をすることによって、登記記録を整理するというものです。

会社法につぎのように規定されています。

会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)

第四百七十二条

休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から十二年を経過したものをいう。以下この条において同じ。)は、法務大臣が休眠会社に対し二箇月以内に法務省令で定めるところによりその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その二箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該期間内に当該休眠会社に関する登記がされたときは、この限りでない。

2  登記所は、前項の規定による公告があったときは、休眠会社に対し、その旨の通知を発しなければならない。

法務局の案内はこちら。

法務省:休眠会社・休眠一般法人の整理作業の実施について

1.休眠会社への通知

公告や通知は、年に1回行われています。

平成28年分は10月13日に実施されました。

法務省:平成28年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について

したがって、届出あるいは何かしらの登記をしない限り、平成28年12月13日に登記所による解散登記(「みなし解散」といいます。)がなされます。

ちょっと小さいですが、上記リンク先の「2 管轄登記所からの通知について」に通知書のサンプルがあります。これをみると、下段に「まだ事業を廃止していません」旨の届出書とセットになっています。

したがい、休業していなければ、この届出書を法務局に提出することになります。

沼津市や三島市を管轄するのは、静岡地方法務局沼津支局となりますが、

商業登記に関する沼津支局の管轄は広く、以下の通りとなっています。

沼津支局:静岡地方法務局

沼津市・裾野市・御殿場市・三島市・伊豆市・伊豆の国市・富士市・富士宮市・下田市・熱海市・伊東市・駿東郡小山町,清水町,長泉町・田方郡函南町・賀茂郡南伊豆町,河津町,東伊豆町,松崎町,西伊豆町

なお通知は、登記されている本店住所地に送付されます。

そのため、本店移転をしているにもかかわらず、その旨を登記していないときには、通知が届かないこととなります。

通知の到達は、みなし解散の要件ではありません。

公告がされた以上、「知らなかった」ということはできないのです。

2.「みなし解散」からの復活

「みなし解散」の状態は、解散登記がなされている状況と同じです。

この状態から復活するためには、解散登記から3年以内に「会社継続登記」をしなければなりません。

3年を経過してしまうと、復活できず、清算手続きに進めざるを得なくなります。

(1)清算人の就任登記

解散により、取締役等の役員はその権限を失い、解散後は清算人が業務を行うこととなります。

みなし解散の場合には、清算人の就任登記が行われていないため、まずは清算人の就任登記をすることとなります。

(2)会社の継続登記・新たな役員等の選任登記

そのうえで、会社の継続登記を行います。継続の登記と一緒に、新たな役員等の選任登記をこないます。

イメージとしては設立時の役員就任登記と同じような流れとなります(解散登記により、既存の役員は抹消されているため、あらためて選任登記をすることに。個々の取締役の資格が復活するわけではない。)。

会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)

第四百七十三条

株式会社は、第四百七十一条第一号から第三号までに掲げる事由によって解散した場合(前条第一項の規定により解散したものとみなされた場合を含む。)には、次章の規定による清算が結了するまで(同項の規定により解散したものとみなされた場合にあっては、解散したものとみなされた後三年以内に限る。)、株主総会の決議によって、株式会社を継続することができる。

商業登記規則(昭和三十九年三月十一日法務省令第二十三号)

第七十三条

会社法第四百七十三条 の規定による継続の登記をしたときは、解散の登記、清算人会設置会社である旨の登記並びに清算人及び代表清算人に関する登記を抹消する記号を記録しなければならない。

昭和25年1月30日民事甲72

会社継続の決議があつた場合には、あらたに取締役を選任しなければならない。