1.条文の確認
民法(明治二十九年四月二十七日法律第八十九号)
第千二条
負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
2 受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
第千三条
負担付遺贈の目的の価額が相続の限定承認又は遺留分回復の訴えによって減少したときは、受遺者は、その減少の割合に応じて、その負担した義務を免れる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
第千二十七条
負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
遺贈の効力は、負担が履行されたかどうかには左右されない。
遺言者の死亡によって効力が生じる。
2.遺言の取消し
(1)
上記条文上では「相続人」が履行の催告をし、相当期間を経ても履行が無い場合に、家庭裁判所に対して負担付遺贈にかかる遺言取消しを請求することができる。
(2)
では、負担の受益者が「相続人ではない」場合にはどうなるのか。
裁判例等は確認出来なかったが、学説の中には、負担の受益者にも履行請求権を認める考え方もあるとのこと。
参考:
第五百三十七条
契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
2 前項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。