元本確定登記と任意整理

2016年4月13日

1.根抵当権者による元本の確定

(1)条文

参照条文

民法(明治二十九年四月二十七日法律第八十九号)

第三百九十八条の十九  
根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する。
2  根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。
3  前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。

参照条文

貸金業法(昭和五十八年五月十三日法律第三十二号)

第二十一条  
貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
(・・・)
九  債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法 人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。

(2)債務処理の委任を受けた弁護士宛に送付すること

根抵当権者(金融機関)による元本確定請求を、根抵当権設定者からの債務処理の委任を受けた弁護士宛に送付すること(および、それに基づく元本確定登記申請)の可否。

ちなみに「貸金業」とは。。。

参照条文

貸金業法(昭和五十八年五月十三日法律第三十二号)

第二条  
この法律において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によつてする金銭の交付又は当該方法によつてする金銭の授受の媒介を含む。以下これらを総称して単に「貸付け」という。)で業として行うものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。

一  国又は地方公共団体が行うもの

二  貸付けを業として行うにつき他の法律に特別の規定のある者が行うもの

三  物品の売買、運送、保管又は売買の媒介を業とする者がその取引に付随して行うもの

四  事業者がその従業者に対して行うもの

五  前各号に掲げるもののほか、資金需要者等の利益を損なうおそれがないと認められる貸付けを行う者で政令で定めるものが行うもの

3.検討

弁護士からの受任通知に、(1)設定者(氏名+住所)の表示、(2)当該根抵当権に係る債務処理について委任がなされていること、が明らかである場合には弁護士宛に通知することも可となるか。

この場合、確定の日は、弁護士宛に内容証明郵便が到達した日となる。 

参照条文

民法(明治二十九年四月二十七日法律第八十九号)

第九十九条  代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。

2  前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。

「民法第398条の19第2項の規定による請求をしたことを証する情報」としては、受任通知、内容証明郵便および配達証明書が該当する。

なんだか安定感に欠ける気がするのですが、以上。

参考文献:不動産登記の実務相談事例集(日本加除出版)p.200~