法定相続情報証明制度(仮称)について(その1)

2017年2月22日

制度概要は、法務省が、パブリックコメント募集にあたって掲載している資料より。

実際の制度開始にあたって変更があるかも知れませんが、現時点での情報をまとめてみました。

1.制度趣旨

相続登記推進のため、不動産登記規則を改正して「法定相続情報証明制度」(仮称)を新設する。

登記名義人の相続人が登記の申請をする場合において、法定相続情報一覧図の写し(法定相続情報証明書)を提供したときは、当該写しの提供をもって、相続があったことを証する情報の提供に代えることができる。

従来であれば、被相続人の戸籍一式、相続人の戸籍などいろいろ提出しなければいけないところ、これを省略できるというもの。

さらには、証明書を相続登記以外の相続手続き(銀行・保険など)に利用してもらうことも想定されている(もちろん、実際の証明書を利用して手続可能とするかどうかは、各銀行等の判断によることとなりますが。)。

2.制度概要

ざっくりまとめると、つぎのとおり。

(1)

相続人が、自ら法定相続情報一覧図(後記サンプルを参照)を作成し、その作成に利用した戸籍等とともに法務局に提出する。

戸籍は自分で集めなければならないし、後記サンプルのような一覧図も自分で作成しなければならない。

この点については、ひな型を法務局がHP上で公開するのでしょうが、手書きで提出されるケースや、提出書面に修正が必要な場合の対応など、一般の方が適格に作成するのは、なかなかに大変であるように思います。

(2)

法務局では、提出を受けた法定相続情報一覧図の内容が正しいことを確認して、保管する。

保管期限は「5年」とされています。

(3)

申請人は、法務局に対して、提出した法定相続情報一覧図の写しを請求することができる(写しには後記の認証サンプルがふされる。)。

これが「法定相続情報証明書」となる。

保管の申出をした相続人以外の相続人が、証明書の発行を請求することができるのかについては、はっきりと読み取れないが、参照資料から考えると「不可」であるように思える(証明書の再交付の際には、申出人として記載されている者の住所氏名と一致する身分証明書を提出することとなっている。)。

そうなると、保管の申請に関与しなかった他の相続人は、改めて一覧図を作成し戸籍等とともに、自身の住所地を管轄する法務局に必要書類を提出して証明書の発行を受けることになる。

(おまけ)

とはいえ、他の相続人が作成しても、(アクセスする情報は同じなので)まったく同じ内容のものができあがるのだから、他の相続人からの請求を認めて良いように思える。各相続人間で戸籍へのアクセス権が違う可能性がある?

(記載サンプル:参照資料より)

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(認証サンプル:参照資料より

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