目次
1.そもそも清算人とは
会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)
第四百七十七条
清算株式会社には、一人又は二人以上の清算人を置かなければならない。
2 清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役又は監査役会を置くことができる。
(・・・)
7 第四章第二節の規定は、清算株式会社については、適用しない。
ちなみに「第四章第二節」とは
第四章 機関
第二節 株主総会以外の機関の設置(第三百二十六条―第三百二十八条)
この節にある代表的な条文として、
第三百二十六条
株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
「ちなみに」が続きますが、清算人について定められた会社法477条は、
第九章 清算
第一節 総則
第二款 清算株式会社の機関
第一目 株主総会以外の機関の設置(第四百七十七条)
におかれている。
2.清算人の選任
条文は以下のとおり。
第四百七十八条
次に掲げる者は、清算株式会社の清算人となる。
一 取締役(次号又は第三号に掲げる者がある場合を除く。)
二 定款で定める者
三 株主総会の決議によって選任された者
2 前項の規定により清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
(・・・)
3.代表清算人の選任
条文は以下のとおり。
第四百八十三条
清算人は、清算株式会社を代表する。ただし、他に代表清算人(清算株式会社を代表する清算人をいう。以下同じ。)その他清算株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の清算人が二人以上ある場合には、清算人は、各自、清算株式会社を代表する。
3 清算株式会社(清算人会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく清算人((・・・)裁判所が選任したものを除く。(・・・)。)の互選又は株主総会の決議によって、清算人の中から代表清算人を定めることができる。
4 第四百七十八条第一項第一号の規定により取締役が清算人となる場合において、代表取締役を定めていたときは、当該代表取締役が代表清算人となる。
〈※478条1項1号の規定とは、スライド登板する場合の規定。〉
第四百八十九条
清算人会は、すべての清算人で組織する。
(・・・)
3 清算人会は、清算人の中から代表清算人を選定しなければならない。ただし、他に代表清算人があるときは、この限りでない。
4.登記に必要な書類(清算人会設置会社でない会社であることを前提とする)
(1)定款!
理由づけについては商業登記ハンドブック参照。
条文構造(478条)からは、株主総会で選任されているケースにおいては、株主総会議事録を添付すれば足りるように思うのですが。機関設計に関する事項については、「定款に記載のないこと」を確認しなければならないのでしょうか?
ちなみに、特例有限会社の場合には、定款添付を要しないとされている(登記研究707号194頁)。理由づけとしては、特例有限会社において清算人会を設置することが許されていないから。そうなると定款添付の根拠は、清算人会設置の有無を確認することのみ、ということになるのだろうか?
会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年七月二十六日法律第八十七号)
第三十三条
清算株式会社である特例有限会社の株主総会以外の機関の設置については、会社法第四百七十七条第二項中「清算人会、監査役又は監査役会」とあるのは、「監査役」とする。
(2)選任を証する書面
法定清算人(スライド登板)の場合には、上記定款以外には不要。
総会決議によるのであれば、取締役・代表取締役のケースとほぼ同様(捺印すべき印鑑については後述。)。
(3)印鑑届書
印鑑提出者の資格が変更となるため、印鑑を登記所に提出する必要がある。
商業登記法(昭和三十八年七月九日法律第百二十五号)
第七十三条
清算人の登記の申請書には、定款を添付しなければならない。
2 会社法第四百七十八条第一項第二号 又は第三号 に掲げる者が清算人となつた場合の清算人の登記の申請書には、就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
(・・・)
第四十六条
2 登記すべき事項につき株主総会若しくは種類株主総会、取締役会又は清算人会の決議を要するときは、申請書にその議事録を添付しなければならない。
商業登記法(昭和三十八年七月九日法律第百二十五号)
第二十条
登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ、その印鑑を登記所に提出しなければならない。改印したときも、同様とする。
商業登記規則(昭和三十九年三月十一日法務省令第二十三号)
第九条の二
印鑑の提出をした者がその資格を喪失し、又は改印若しくは印鑑の廃止の届出をしたときは、登記官は、印鑑記録にその旨を記録しなければならない。
5.清算人と印鑑証明書(あるいは清算人と本人確認証明書)
長くなったので別稿とする。