官公署とはなんだ(不動産登記法との関係で)

1.不動産登記法における「官公署」

(1)条文

参照条文

不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)

(当事者の申請又は嘱託による登記)
第十六条 
登記は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託がなければ、することができない。
2 第二条第十四号、第五条、第六条第三項、第十条及びこの章(この条、第二十七条、第二十八条、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第四十一条、第四十三条から第四十六条まで、第五十一条第五項及び第六項、第五十三条第二項、第五十六条、第五十八条第一項及び第四項、第五十九条第一号、第三号から第六号まで及び第八号、第六十六条、第六十七条、第七十一条、第七十三条第一項第二号から第四号まで、第二項及び第三項、第七十六条から第七十六条の四まで、第七十六条の六、第七十八条から第八十六条まで、第八十八条、第九十条から第九十二条まで、第九十四条、第九十五条第一項、第九十六条、第九十七条、第九十八条第二項、第百一条、第百二条、第百六条、第百八条、第百十二条、第百十四条から第百十七条まで並びに第百十八条第二項、第五項及び第六項を除く。)の規定は、官庁又は公署の嘱託による登記の手続について準用する。

(官庁又は公署の嘱託による登記)
第百十六条 
国又は地方公共団体が登記権利者となって権利に関する登記をするときは、官庁又は公署は、遅滞なく、登記義務者の承諾を得て、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。
2 国又は地方公共団体が登記義務者となる権利に関する登記について登記権利者の請求があったときは、官庁又は公署は、遅滞なく、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。

(官庁又は公署の嘱託による登記の登記識別情報)
第百十七条 
登記官は、官庁又は公署が登記権利者(登記をすることによって登記名義人となる者に限る。以下この条において同じ。)のためにした登記の嘱託に基づいて登記を完了したときは、速やかに、当該登記権利者のために登記識別情報を当該官庁又は公署に通知しなければならない。
2 前項の規定により登記識別情報の通知を受けた官庁又は公署は、遅滞なく、これを同項の登記権利者に通知しなければならない。

(2)整理

「当事者」は「申請」、

「官公署」は「嘱託」。

「申請」の定義については、下記を参照。

参照条文

行政手続法(平成五年法律第八十八号)

(定義)
第二条 
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(・・・)
三 申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。
(・・・)

これをみると、申請というのは「行政庁」に対する行為だとわかる。

「嘱託」については、有斐閣法律用語辞典に次のような記述がある。

公の機関が他の機関等に一定の行為を依頼するときに多く用いられる。

法令用語研究会 (編集)『有斐閣法律用語辞典〔第5版〕』有斐閣(2020/12/23)P.624

要するに「行政庁同士で『申請』はしないよね」ということか。

なお「嘱託」という言葉自体には、嘱託殺人とか嘱託職員など他の意味もある。念のため。

2.官公署とは

(1)定義を確認する

「官公署」とは

広く、国及び地方公共団体の機関等各種の公の機関を総称する場合の用語

法令用語研究会 (編集)『有斐閣法律用語辞典〔第5版〕』有斐閣(2020/12/23)P.151

なお「官署」は次のとおり。

国の諸機関の総称

法令用語研究会 (編集)『有斐閣法律用語辞典〔第5版〕』有斐閣(2020/12/23)P.155

なお「公署」は次のとおり。

地方公共団体の諸機関その他の公の機関を指す語

法令用語研究会 (編集)『有斐閣法律用語辞典〔第5版〕』有斐閣(2020/12/23)P.155

(2)整理

過去に独立行政法人について作成した記事があったが、そこで良い条文があげられていた。

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参照条文

独立行政法人都市再生機構法施行令(平成十六年政令第百六十号)

第三十四条

次の法令の規定については、機構を国の行政機関とみなして、これらの規定を準用する。

(・・・)

二十二 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第十六条、【第八款 官庁又は公署が関与する登記等】第百十五条から第百十七条まで及び第百十八条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)

三十二 不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)第七条第一項第六号(同令別表の七十三の項に係る部分に限る。)及び第二項、第十六条第四項【印鑑証明書の添付不要】、第十七条第二項【資格証明不要】、第十八条第四項【代理申請における印鑑証明書の添付不要】並びに第十九条第二項【承諾書への印鑑証明書の添付不要】

参照条文

独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法施行令(平成十七年政令第二百二号)

第二十二条 
次の法令の規定については、機構を国の行政機関とみなして、これらの規定を準用する。
(・・・)
九 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第十六条及び第百十五条から第百十七条まで
十 不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)第七条第一項第六号(同令別表の七十三の項に係る部分に限る。)及び第二項、第十六条第四項、第十七条第二項、第十八条第四項並びに第十九条第二項

独立行政法人は、官公署ではないが、上記のような準用によって「行政機関」とみなされ、嘱託登記が可能となっている。

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