登記申請と不動産の表示について

1.登記申請情報としての不動産の表示について

(1)条文

参照条文

不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)

(申請の方法)
第十八条 
登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。
(・・・)

参照条文

不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)

(申請情報)
第三条 
登記の申請をする場合に登記所に提供しなければならない法第十八条の申請情報の内容は、次に掲げる事項とする。
(・・・)
七 土地の表示に関する登記又は土地についての権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項
イ 土地の所在する市、区、郡、町、村及び字
ロ 地番(土地の表題登記を申請する場合、法第七十四条第一項第二号又は第三号に掲げる者が表題登記がない土地について所有権の保存の登記を申請する場合及び表題登記がない土地について所有権の処分の制限の登記を嘱託する場合を除く。)
ハ 地目
ニ 地積
八 建物の表示に関する登記又は建物についての権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項
イ 建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
ロ 家屋番号(建物の表題登記(合体による登記等における合体後の建物についての表題登記を含む。)を申請する場合、法第七十四条第一項第二号又は第三号に掲げる者が表題登記がない建物について所有権の保存の登記を申請する場合及び表題登記がない建物について所有権の処分の制限の登記を嘱託する場合を除く。)
ハ 建物の種類、構造及び床面積
ニ 建物の名称があるときは、その名称
ホ 附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
ヘ 建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積(トに掲げる事項を申請情報の内容とする場合(ロに規定する場合を除く。)を除く。)
ト 建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称
(・・・)
十一 権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項
(・・・)
ヘ 敷地権付き区分建物についての所有権、一般の先取特権、質権又は抵当権に関する登記(法第七十三条第三項ただし書に規定する登記を除く。)を申請するときは、次に掲げる事項
(1) 敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目及び地積
(2) 敷地権の種類及び割合
(・・・)

(2)整理

上記(1)のとおりであるが、「不動産識別事項」(不動産番号)を申請情報の内容としたときは、それぞれ下記(3)(4)(5)の内容は省略が可能となる。
(ただし(5)については、敷地権の種類及び割合は省略不可。)

参照条文

不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)

(申請情報の一部の省略)
第六条 
次の各号に掲げる規定にかかわらず、法務省令で定めるところにより、不動産を識別するために必要な事項として法第二十七条第四号の法務省令で定めるもの(次項において「不動産識別事項」という。)を申請情報の内容としたときは、当該各号に定める事項を申請情報の内容とすることを要しない。
一 第三条第七号 同号に掲げる事項
二 第三条第八号 同号に掲げる事項
三 第三条第十一号ヘ(1) 敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目及び地積
(・・・)

参照条文

不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)

不動産番号
第九十条 
登記官は、法第二十七条第四号の不動産を識別するために必要な事項として、一筆の土地又は一個の建物ごとに番号、記号その他の符号を記録することができる。

(3)土地についての権利に関する登記を申請するとき

土地の所在する市、区、郡、町、村及び字
地番
地目
地積

(4)建物についての権利に関する登記を申請するとき

建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番
(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
家屋番号
建物の種類、構造及び床面積
建物の名称があるときは、その名称
(附属建物があるとき)
その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
(建物又は附属建物が区分建物であるとき)
当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積(「一棟の建物の名称」を申請情報の内容とする場合を除く。)
(建物又は附属建物が区分建物である場合)
当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称

(5)敷地権付き区分建物についての所有権、一般の先取特権、質権又は抵当権に関する登記を申請するとき

上記(4)に加えて下記も内容とする必要がある。

敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目及び地積
敷地権の種類及び割合

2.登記原因証明情報における不動産の表示について

そもそも、登記原因証明情報の記載事項について法令上の定めはない!

参照条文

不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)

(登記原因証明情報の提供)
第六十一条 
権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。

申請の対象となった不動産について登記原因が発生したことを確認できるような記載である必要はあろう。
(基本的には、申請情報に記載すべき事項を記載しているイメージ。)

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3.委任状における不動産の表示について

(1)条文

参照条文

不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)

(代理人の権限を証する情報を記載した書面への記名押印等)
第十八条 
委任による代理人によって登記を申請する場合には、申請人又はその代表者は、法務省令で定める場合を除き、当該代理人の権限を証する情報を記載した書面に記名押印しなければならない。復代理人によって申請する場合における代理人についても、同様とする。
2 前項の場合において、代理人(復代理人を含む。)の権限を証する情報を記載した書面には、法務省令で定める場合を除き、同項の規定により記名押印した者(委任による代理人を除く。)の印鑑に関する証明書を添付しなければならない。
3 前項の印鑑に関する証明書は、作成後三月以内のものでなければならない。
4 第二項の規定は、官庁又は公署が登記の嘱託をする場合には、適用しない。

(2)整理

こちらも条文上の規定はないが、つぎのような先例がある。
(後段は、本記事とは関係ないが参考となるため記載。)

昭和39年8月24日民甲第2864号通達

【要旨】
申請書に登記原因を証する書面を添付する場合には、申請書に添付すべき委任状には、委任事項として「登記原因証書たる年月日付抵当権設定契約証書記載のとおりの抵当権の設定の登記」と記載されていれば足り、登記事項及び不動産の表示が記載されていなくても良いよ。

委任状に委任者を表示する場合において、委任者が法人の代表者又は親権者等の法定代理人であるとき、法定代理人の氏名を記載すれば足り、法定代理人の住所の記載は省略しても良いよ。

原則的には、登記事項と不動産の表示が記載されている必要がある。
そして、不動産の表示とは上記【1】と同様だと考えられる。

例外として、登記原因証明情報を援用する場合には、記載は不要となる。

(・・・援用型ではない委任状において、不動産の表示につき所在地番(あるいは家屋番号)のみを記載している委任状で通っているのだが、これはどういう根拠なのだろうか?登記申請事項と登記原因証明情報でつながりがとれているからOKということなのだろうか?・・・どこかに先例や質疑応答があるのだろうか・・・)
(登記研究404号133頁(質問内容は本記事とは無関係)に記載された委任状をみてみると所在地番のみの記載となっている。)

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