1.清算株式会社とは
(1)条文
会社法(平成十七年法律第八十六号)
(清算株式会社の能力)
第四百七十六条
前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。
(清算の開始原因)
第四百七十五条
株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。
一 解散した場合(第四百七十一条第四号に掲げる事由によって解散した場合及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)
二 設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
三 株式移転の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
(2)整理
清算の開始原因が生じ、それにより清算をする株式会社のことを「清算株式会社」という。
清算株式会社になると、清算株式会社ではない株式会社と比較すると、機関設置など幾つかの点において相違が出てくる。
では、清算株式会社において株主総会・清算人会の「決議の省略」は可能なのだろうか?
2.準用規定
(1)条文
第五目 取締役等に関する規定の適用
第四百九十一条
清算株式会社については、第二章(第百五十五条を除く。)、第三章、第四章第一節、第三百三十五条第二項、第三百四十三条第一項及び第二項、第三百四十五条第四項において準用する同条第三項、第三百五十九条、同章第七節及び第八節並びに第七章の規定中取締役、代表取締役、取締役会又は取締役会設置会社に関する規定は、それぞれ清算人、代表清算人、清算人会又は清算人会設置会社に関する規定として清算人、代表清算人、清算人会又は清算人会設置会社に適用があるものとする。
この491条は、「第二編 株式会社」の「第八章 解散」に規定されている。
491条の準用条文を整理すると、つぎのとおり。
- 第二章:株式
(除外される155条は自己株式の取得に関する条項。) - 第三章:新株予約権
- 第四章第一節:株主総会及び種類株主総会等
(第四章は「機関」に関する章であり、第二節は「株主総会以外の機関の設置」、第三節は「役員及び会計監査人の選任及び解任」と続いていく。) - 335条2項:監査役の資格
- 343条1項及び2項:監査役の選任に関する監査役の同意等
- 345条4項:監査役の選任等についての意見の陳述
- 359条:裁判所による株主総会招集等の決定
- 第四章第七節:監査役
- 第四章第八節:監査役会
- 第七章:事業の譲渡等
(2)「決議の省略」に関する条文
(株主総会の決議の省略)
第三百十九条
取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
2 株式会社は、前項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
3 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の書面の閲覧又は謄写の請求
二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第二項の書面又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
5 第一項の規定により定時株主総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時株主総会が終結したものとみなす。
(取締役会の決議の省略)
第三百七十条
取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。
319条は「第四章第一節」に規定されているから、上記491条において準用されていることに。
370条は「第四章第五節」に規定されているから、391条では準用はされていない。
ただし、清算人会については、つぎの条文が存在している。
(清算人会の運営)
第四百九十条
(・・・)
5 第三百六十九条から第三百七十一条までの規定は、清算人会設置会社における清算人会の決議について準用する。この場合において(・・・)第三百七十条中「取締役が」とあるのは「清算人が」と、「取締役(」とあるのは「清算人(」と、(・・・)と読み替えるものとする。
3.議事録作成者は誰?
(1)条文
会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号)
(議事録)
第七十二条
(・・・)
4 次の各号に掲げる場合には、株主総会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一 法第三百十九条第一項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした者の氏名又は名称
ハ 株主総会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
(・・・)
(清算人会の議事録)
第百四十三条
(・・・)
4 次の各号に掲げる場合には、清算人会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一 法第四百九十条第五項において準用する法第三百七十条の規定により清算人会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 清算人会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした清算人の氏名
ハ 清算人会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った清算人の氏名
(・・・)
(2)整理
清算株式会社においては「取締役」が「清算人」と読み替えられるのか?
